2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポリペプチドとヒドリドクラスターがつくる不斉反応場における光学活性アミノ酸合成
Project/Area Number |
17036038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小江 誠司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60290904)
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Keywords | 水中 / 環境対応 / 触媒・化学プロセス / ヒドリド錯体 / 錯体化学 / 水素 / 還元 / 反応制御 |
Research Abstract |
ポリペプチド不斉反応場を導入することが可能な対称中心を持たないヒドリドクラスター(4)の合成を先行実験として行った。使用する金属は、生体が使用しているモリブデンと鉄以外にも、いろいろな種類の遷移金属(ルテニウムや銅)を使用して合成を行った。ルテニウムと銅を用いた理由は、ルテニウムは鉄と同じ8族元素であり、銅は生体における酸素分子の活性化において、鉄と同様に深く関与しているからである。具体的な合成は、以下に示すように、単核錯体(1)→複核硫化物錯体(2)→三核硫化物クラスター(3)→対称中心を持たないヒドリドクラスター(4)と段階的に合成した。その際、単核錯体(1)に支持配位子として、ヘキサメチルベンゼンとトリメチルホスファイトトリメチルホスファイトを使用することと、モリブデンユニットとしてMoOS_3を使用することで、クラスター合成に成功した。そして、非点対称ヒドリドクラスター(4項の準備状況参照)に銀(I)試薬を反応させ、銅に配位している、ヨウ素配位子をヨウ化銀として取り除き、水溶性アクア硫化物クラスターを合成した。合成した水溶性アクア硫化物クラスターを水中で加熱することで、ホスファイト配位子が加水分解され、亜リン酸錯体になり、さらに亜リン酸配位子からルテニウムイオンにヒドリド移動して、水溶性ヒドリド硫化物クラスターになる。実際、ルテニウム単核錯体を用いた先行実験ではメタノールとリン酸が生成し、ホスファイト錯体はヒドリド錯体に変わるととを、X線構想解析、NMR、エレクトロスプレー質量分析法で明らかにした。
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Research Products
(5 results)