2005 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ内ガスハイドレートの生成と構造
Project/Area Number |
17036053
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
真庭 豊 首都大学東京, 都市教養学部, 助教授 (70173937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 和之 首都大学東京, 都市教養学部, 助手 (60347268)
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Keywords | カーボンナノチューブ / ガス吸着 / 吸着等温線 / メタン / ナノ分子バルブ / ミクロポアーフィリング / NMR / X線回折 |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、サブナノメートルの直径を持った1次元的空洞を提供する。この空洞内に閉じ込められた物質系の構造と相挙動は極めて興味深い。本研究では、SWCNTおよび水を吸蔵したSWCNTへの単純ガス、特にメタンCH_4の吸着現象を研究した。SWCNTバンドルは多数の吸着サイトを有する。従って、これらの吸着サイトを選択的に観測可能な研究手法が重要である。本研究ではX線回折(XRD)法を用いることによって、SWCNT内部空洞への吸着・相転移挙動を選択的に調べることに成功した。メタンガスについて吸着等温線を詳細に調べ、SWCNTの内部空洞への吸着特性は、典型的ミクロポアーフィリングであることが確認できた。さらに、吸着機構については、SWCNT内壁上の2次元剛体ガスモデルにより説明できることが分かった。このモデルでは、メタン分子はSWCNT内側のレナード・ジョーンズ(LJ)ポテンシャルの極小面上の剛体ガスであり、かつチューブの動径方向に調和振動していると考える。LJポテンシャルの極小値は2130K、振動数は10^<12>sec^<-1>程度であった。振動数は非調和ポテンシャルの効果として小さな温度変化を示し、低温で1×10^<13>sec^<-13>程度まで上昇した。 次に、水を吸蔵したSWCNTへのメタンの吸着実験を行なった。1気圧のメタンガス中においてXRDパターンの温度依存性を測定したところ、240K以下でXRDパターンが急激に変化することが観察された。詳細な解析の結果、組成が高温相でC_<45>(H_2O)_<6.4>、低温ではC_<45>(H_2O, CH_4)_<4.4>となり、低温でメタン分子がSWCNT内部に進入したことがわかった。重水D_2Oを吸蔵したSWCNTへのメタンCH_4の^1H-NMRスペクトルの測定を行い、高圧力(p>p_c)では、スペクトルは3種類(ガス、SWCNT内部、バンドル外などその他)のメタンの成分に分解できることが分かった。SWCNT内部の信号は、p>p_cで現れる。SWCNT内部のメタンの吸着は圧力履歴を示し、225Kではp_c=0.4-0.6atmとなった。p_cは、温度、ガスの種類に依存しているので、ガス選択的ナノ分子バルブとして動作することが明らかになった。
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Research Products
(4 results)