2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライト骨格と交換カチオンの協奏による分離場の創生
Project/Area Number |
17036064
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松方 正彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00219411)
|
Keywords | ゼオライト膜 / 膜分離 / 交換カチオン / 高温高圧ガス分離 / ナノポーラス膜 |
Research Abstract |
本研究では、ゼオライトの一種であるモルデナイトを薄膜化し、ゼオライト骨格のイオン交換サイトに固定されたNaカチオンと水分子と相互作用による、高温下での水の選択的分離を目指した。 配位空間場として用いるゼオライト薄膜を合成するにあたっては、種結晶を用いた緻密な薄膜の調製法の開発を中心に行った。まず、平板型の非多孔質支持体上に塗布した種結晶からの結晶成長の様子を観察して,水熱条件下における結晶成長条件の検討を行った。最適化された結晶成長条件を以って,多孔質支持体アルミナ支持体上に塗布した種結晶を成長させることで,支持体表面付近の空隙をゼオライト結晶で埋めることにより,緻密なゼオライト薄膜の調製を合理的に展開することを試みた。 上記の手法により、モルデナイトの薄膜化に成功し、当初のもくろみ通り、250℃までの高温において水選択性を示した。こうした高温における水膜選択性分離の実現は、世界的に初めての例となった。しかしいっぼう、この膜は水素を全く透過させず、極めて特異な選択性をもつことがわかった。また、当初の予定以外にもZSM-5型のゼオライトの薄膜化も試みたところ、高温水選択性のある分離膜を合成することができた。モルデナイト膜と異なり、ZSM-5膜は、水が存在しないと水素、あるいはメタノールが透過したため、透過選択性の発現機構が、モルデナイト膜とZSM-5膜では異なることが示唆された。以上、本研究において、当初の予定を上回る成果が得られたと評価している。いっぼう、水透過選択性の発現機構については、上記のように極めて「不思議」な結果が得られており、アルカリイオン交換型ゼオライト内への高温における各種分子の吸着、拡散挙動の特異性について、今後大きく発展が期待できる研究テーマを見いだすことができたのはないかと考えている。
|
Research Products
(8 results)