2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17037008
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小野 重明 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (20313116)
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Keywords | スラブ / 密度 / 相転移 / 高温高圧 / 玄武岩 |
Research Abstract |
沈み込むプレートのダイナミクスを解明するために、現実のマントル物質の物性を明らかにすることは不可欠である。特に密度と粘性という2つの物性はマントルの対流を支配する重要なパラメータである。そこで本研究では、密度に注目して、沈み込む海洋プレートとそれを取り囲むマントル物質の密度差を精密に測定することを試みた。当該研究領域では、スタグナントスラブの全貌を明らかにするために、対流モデリングを行う予定であるが、信頼しうるモデリングを行う際の基礎データとして、スタグナントスラブの精密な密度情報は必要不可欠であると考られる。下部マントル条件を実現するための実験装置としてダイヤモンドアンビルセルを用いるが、放射光を用いたX線その場観察を行うことで、今までにない非常に信頼性の高いデータが得られることができた。実験装置はダイヤモンドアンビル型高圧発生装置とレーザー式加熱方法を組み合わせて用いた。実験試料はゲル形状の合成試料を用意し、ダイヤモンドアンビルセルを用いて50-150ギガパスカルの圧力領域で実験を行った。この圧力範囲は、ほぼ下部マントル全体をカバーしている。試料中の温度分布が一様になるように試料両面から加熱を行い、2000-3000ケルビンの温度で実験を行った。この温度は、マントル中の平均的な温度と予想されている値とほぼ同じである。沈み込むスラブ物質を代表するものとして、海洋プレートの上部を構成している玄武岩に注目して実験を行ったところ、下部マントルでは、ペロフスカイトやシリカ相を主構成鉱物とした岩石へ変化することを確認した。また、マントル最下部ではペロフスカイトがカルシウムイリジウム酸化物構造を持った鉱物へ相転移し、密度が大きく変化することが判明した。来年度は、さらなる精度で鉱物の体積を測定し、岩石の密度を精密に決定することが予定している。
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Research Products
(5 results)