2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17038006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 京剛 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (70183605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 晴久 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助手 (00313164)
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Keywords | 超伝導ゆらき / 薄膜 / 臨界現象 / ブロードバンド / マイクロ波 |
Research Abstract |
(0)マイクロ波ブロードバンド法を用いて高温超伝導体の超伝導ゆらぎの詳細な測定を行った。 (1)ホールドープ系LSCO:昨年に引き続き,今年度は過剰ドープ試料(0.18【less than or equal】x)での揺らぎの性質を明らかにするために繰り返し実験を行い,かつ,磁場効果を調べた。動的スケーリング解析の結果は2次元的な超伝導揺らぎを示唆するが,磁場効果の測定も含めて得られた臨界指数の値はよく知られているいずれのモデルのそれとも一致しない(「2次元unknown」)。過剰ドープ試料に関しては,一般に指摘されているような試料の乱れ,不均一性などがどのように超伝導揺らぎデータに反映されるかチェックを要する。これに関して,従来超伝導体NbNなどを用いて,意図的にT_cを分布させた試料で測定を行いながら検討した。それによると,T_cに分布がある場合には,超伝導揺らぎデータは決してスケールせず,通常のスケーリング則を満たす場合とは質的に異なる結果が得られた。一方,理論的にもXYモデルに種々の拡張を行うと,多種多様な臨界的振舞いが得られるようである。過剰ドープの"2次元unknown"の振舞いの理解については,今後の理論的発展にも期待したい。 (2)電子ドープ超伝導体LCCO:最適ドープよりやや不足ドープ側の試料で測定を行った結果,超伝導揺らきは3次元XY的であることが判明した。 (3)電子相図に関してわかったこと:超伝導揺らぎはキャリア濃度に強く依存して変化しており,電子相図に関しては,転移温度や擬ギャップの振舞いだけでなく超伝導揺らぎの振舞いも理論的に説明される必要がある。乱れがある場合の臨界現象については理論的にも未解明の部分が多いので,今後この方面の研究の進展がこの問題の棺の蓋をするのに決定的に重要であろう。
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Research Products
(3 results)