2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17038009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五神 真 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70161809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 敬 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70376490)
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Keywords | 磁性 / 光スイッチ / 強相関エレクトロニクス / テラヘルツ / 赤外材料・素子 |
Research Abstract |
強磁性を示す遷移金属酸化物や強磁性半導体ではその磁性発現が得意な電子構造に由来している。このような磁性と電子構造が強く相関する状況では、光による電子系の励起によって磁化を制御することができる。光を超短パルス光とすると、磁化がそのパルス幅程度で急峻に変化する可能性がある。本研究では、光照射による磁化変化に注目し、次の2項目について研究を進めた。 (1)超短パルス光の照射によって生じる急峻な磁化変化を利用した高効率テラヘルツ発生法:強磁性状態の磁性半導体(Ga_<-1-x>Mn_xAs:Tc〜110K)にフェムト秒パルス光を照射したところ、強いテラヘルツ光信号を観測した。テラヘルツ光の強度の温度依存性から、放射強度が磁化と相関があることを発見した。励起光強度依存性、入射角度依存性、偏光依存性などの系統的な実験を行い、その放射機構の解明を進めた。強磁性相の光励起現象について、超高速磁化制御、遠赤外電磁波制御機能の両面から考察を行い、最適な対象物質の検討をおこなった。 (2)テラヘルツ光の磁場成分による強磁性転移:強磁性体を強磁性発現の限界領域に制御し、テラヘルツ光の磁場成分によって磁化発現のトリガーをかける実験を行った。我々の研究室で開発した高強度テラヘルツ電磁波(繰り返し1キロヘルツ、パルス幅1ピコ秒程度)を、空中を伝播する磁場パルスと見立てこれによる磁化の制御を実証するための実験を行った。磁化の測定は光学領域の磁気カー効果を利用し、物質系はハーフメタル強磁性体として知られ、磁気異方性の大きなLa_<1-x>Sr_vMnO_3を用いた。しかし、現状のテラヘルツ磁場パルスでは、磁気的相転移の観測には至らなかった。励起磁場パルス強度や磁化変化の検出系の改良点や、より敏感な応答を示す材料の検討を行った。その結果、磁気異方性の小さな物質のほうがより高速に応答する可能性があるのではないかという可能性を得た。
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