2006 Fiscal Year Annual Research Report
梯子格子銅酸化物における圧力誘起超伝導状態の4GPa下NMR測定
Project/Area Number |
17038013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 直樹 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教授 (60272530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上床 美也 東京大学, 物性研究所, 助教授 (40213524)
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Keywords | 高圧 / NMR / 酸化物 / 超伝導 |
Research Abstract |
梯子格子銅酸化物Sr2Cal2Cu24041は3万気圧以上の圧力下で超伝導になることが知られている。この物質は、高温超伝導体以外で超伝導になる唯一の物質である。また、この物質において、銅と酸素からなる梯子格子二次元平面内で超伝導が発現する点は、高温超伝導体において正方格子平面で超伝導が発現することと共通ではあるが、平面構造の違いから超伝導転移点で1桁も異なる。高温超伝導体では、超伝導状態より高温の常伝導状態で擬ギャップが現れ、高温超伝導発現機構モデルに重要な係わりを示している。擬ギャップの存在が発現機構に関係するかどうかはこの分野でしばしば議論になってきた。この物質でも同様に、スピンギャップが存在することが常圧の核磁気共鳴で知られている。しかし、超伝導が現れるのは3万気圧以上であり、転移点温度が最大になる最適条件は4万気圧であるため、超伝導状態についての研究は抵抗と交流帯磁率測定以外殆どされていない状態であった。本研究グループは以前3万5千気圧下で核磁気共鳴(NMR)を行うことに成功し、転移点以下の温度で超伝導ギャップ、転移点以上の温度でスピンギャップが存在することを示した。しかし、3万5千気圧は超伝導が発現し始める圧力であるため、より高圧で測定する必要がある。4万気圧下でのNMR測定を行うための技術開発、とりわけ低温で4万気圧を保つために定荷重方式のNMR装置の開発に取り組んだ結果、最近4万気圧まで安定して加圧することに成功している。この装置開発に関しては、2007年にJPSJに出版される。また、詳細に記述した論文を投稿中である。現在、梯子格子銅酸化物の緩和時間を3.8万気圧まで測定することに成功し、スピンギャップが圧力とともに減少することを観測している。引き続き4万気圧以上で測定する予定である。
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