2005 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体の絶縁体-金属転移近傍における磁性と伝導の相関
Project/Area Number |
17038021
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
松田 雅昌 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (90260190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇本 秀一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (40399415)
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Keywords | 酸化物高温超電導体 / 中性子散乱 / スピン相関 / 不純物効果 / 磁気励起 |
Research Abstract |
1.不純物置換効果 La_<2-x>Sr_xCuO_4希釈ドープ領域では、低温で短距離非整合磁気秩序相(スピングラス相)が存在する。最近、この非整合磁気相関がストライプ秩序に起因するのではなく、フラストレーションによって引き起こされるスパイラル状態に起因するという可能性も指摘されている。また、適切なモデルを判別するために、La_<2-x>Sr_xCuO_4のCu位置をZn等で置換して、非整合磁気相関の変化を調べることが提案されている。我々は、Cu位置をZnやNiで置換したLa_<1.95>Sr_<0.05>CuO_4単結晶を用いて中性子散乱実験を行い、非整合磁気相関の不純物濃度依存性を調べた。Zn置換の実験結果からは、両者のモデルの善し悪しの区別がつかないが、Ni置換の実験結果からストライプモデルの方がより適切であるという結論を得た。特にNi置換効果は興味深く、NiがNi^<3+>或はNi^<2+>と周りのホールがZhang-Rice一重項的なものを形成した状態で置換され、磁性に大きな変化をもたらすことを明らかにした。 2.スピンダイナミクス 銅酸化物高温超伝導体の超伝導相(水平非整合スピン相)においては精力的に磁気励起測定が行われており、特にLa_<2-x>Ba_xCuO_4(x=0.125)やYBa_2Cu_3O_<6.6>においては普遍的な砂時計型の励起(あるエネルギーで分散が閉じる)が観測されている。砂時計型の磁気励起が、超伝導相でのみ見られるかを調べるために、La_<2-x>Sr_xCuO_4の絶縁体相(斜め非整合スピン相)の中性子非弾性散乱実験を行い、磁気励起を測定した。まだ、予備的な結果しか得られていないが、砂時計型を示唆する結果を得た。来年度も継続して測定を行い、結論を出す予定である。
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Research Products
(1 results)