2005 Fiscal Year Annual Research Report
惑星系親星の重元素過多は惑星系誕生の原因なのか結果なのか
Project/Area Number |
17039001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴橋 博資 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30126081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関井 隆 国立天文台, 太陽天体プラズマ研究部, 助教授 (20332158)
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Keywords | 系外惑星 / 日震学 / 逆問題 / 重元素 / 太陽内部構造 |
Research Abstract |
本研究は、日震学データに基づく情報を拘束条件として、進化を追うことなく、観測事実を最も忠実に再現する太陽構造を決定し、それにより、我が惑星系の親星である太陽内部の重元素分布を実証的に調べ、重元素が多いことが惑星系形成の結果なのか原因なのかを探ることを目的としている。 17年度は、その第一歩として、重元素分布を空間的に一様であると仮定した場合には、日震学で得られた太陽内部の音速分布を拘束条件として、太陽モデルを作成できることを示した。スペクトル解析法の改変により、太陽表面元素組成は、これまで考えられてきたより重元素が少ないことが最近主張されるようになったが、その最新の値を使って恒星進化論に基づく太陽モデルを作成すると日震学データとは矛盾してしまうことが主張されてきた。本研究では、最新の日震学データと低重元素組成とは矛盾することなく、太陽内部モデルを作成できることを示した。但し、こうして作成されたモデルから予測されるボロンニュートリノのフラックスは、スーパーカミオカンデでの観測値と矛盾がなくなり、ニュートリノ振動を容認した場合の値とは整合性がなくなってしまう。 この研究過程において、輻射層上層部での水素及びヘリウムの分布には、重力による拡散(水素が浮き、ヘリウムが沈む)によるものと解釈される特徴が見られることが確認された。この研究の副産物として、白色矮星での重力による拡散分離を考察し、DA型とDB型の白色矮星の数比が、白色矮星の表面温度系列の特定領域で突如著しく変わるという未解明の謎を、重力による元素の拡散分離と対流による混合を考慮することにより、説明可能であることを指摘した。
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