2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダストの沈殿と成長に伴う原始惑星系円盤の物理構造と化学組成およびスペクトルの変化
Project/Area Number |
17039008
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
相川 祐理 神戸大学, 理学部, 助手 (40324909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 英子 神戸大学, 自然科学研究科, COE研究員 (20397821)
中本 泰史 筑波大学, 数理物質科学研究科, 講師 (60261757)
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Keywords | 原始惑星系円盤 / 電波観測 / 星間化学 / 輻射輸送 |
Research Abstract |
原始惑星系円盤におけるガス・ダストの温度・密度分布を理論計算によって無矛盾に求め、円盤表面付近に存在する水素分子からの輻射を調べた。その結果、中心星が紫外線超過をもつ場合、観測されている水素分子の紫外線・近赤外輻射を再現できることを示した。この結果は論文としてまとめ学術雑誌に掲載された。 原始惑星系円盤内でダストは合体成長する。層流円盤および乱流円盤におけるダストの合体成長および沈殿の過程を数値計算によって調べた。その結果、層流での成長沈殿過程は解析的なモデルとよく一致することを示した。また乱流円盤においてはダストが円盤の寿命よりも短い時間スケールで半径方向に落下してしまうことがわかった。さらに星間ダストよりも大きなダストをもつ円盤において、ガス・ダストの温度・密度分布および分子組成分布を数値計算によって求めた。その結果、ダスト成長に伴い(1)円盤表層のガス温度は低下するが、中間層のガス温度は上昇する(2)分子ガスの存在する領域は中心面に近づく(3)イオン分子の柱密度は減少するがその他の分子柱密度はあまり変化しないことがわかった。これらの結果は論文としてまとめ学術雑誌に掲載された。 国際会議「Protostars and Planets V」において、原始惑星系円盤における化学組成進化のレビュー講演を行い、レビュー論文を執筆した。 輻射強度分布を求める輻射輸送計算については、今年度は連続波(ダストの熱放射)の計算を行った。計算結果を用いて次世代大型電波干渉計ALMAでの原始惑星系円盤の観測可能性を検討した。その結果,ALMAを使って複数の波長でイメージを撮ることにより、円盤内ダストの温度・数密度・組成などの空間分布に関する情報が得られる可能性があることがわかった。今後はより詳細な検討を行い、観測結果から円盤内ダストの物理量を推定する方法の精度を高めることを試みる。
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Research Products
(4 results)