2005 Fiscal Year Annual Research Report
太陽系外惑星の直接検出のための極低温赤外線宇宙望遠鏡用コロナグラフの開発
Project/Area Number |
17039013
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
塩谷 圭吾 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部赤外・サブミリ波天文学研究系, 宇宙航空プロジェクト研究員 (40392815)
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Keywords | コロナグラフ / 太陽系外惑星 / 赤外線 / 宇宙望遠鏡 / コントラスト / 瞳マスク |
Research Abstract |
「我々の住む地球を含む太陽系、このような惑星系は、唯一無二のものなのだろうか?それとも宇宙にありふれたものなのだろうか?」宇宙望遠鏡に搭載するコロナグラフ装置を開発し、太陽系外惑星の直接観測を目指すことは、この根源的な問題にせまるための強力なアプローチである。 本研究によって、次世代赤外線天文衛星SPICAに搭載するコロナグラフの開発を立ち上げ、大きく進展させることができた。本研究のおもな成果をまとめると、次のようになる。 1)チェッカーボード瞳マスク型コロナグラフの設計:本研究より以前には、望遠鏡の入射瞳が単純な円形の場合について、しかも各種の誤差を無視した場合についての理論的研究が主であった。しかし高精度のコロナグラフは極端に誤差要因に敏感であり、しかも実際の宇宙望遠鏡に搭載するためには、副鏡や支持機構による瞳の遮蔽のもので機能する必要がある。そこで瞳マスクによるコロナグラフの方式に注目し、設計解を求めた。 2)検証実験:得られた解を用いて、まずは可視波長域、常温、大気中にて、コロナグラフの機能を検証する実験を行った。非常に形状精度の高いマスクを実現するため、半導体開発などに用いられる微細加工の技術を適用した。加工の条件を最適化した結果、ガラス基板上に、アルミニウム薄膜によるマスクを形成した。He-Neレーザーを光源とする光学系を構築し、ノイズ対策に大きな労力をかけた結果、太陽系外の木星を検出するために目標としていたコントラスト(10^6)を上回る性能を達成することができた。本研究で扱ったタイプの瞳マスクの検証実験は、それ自体が初めてのものであり、基礎研究としても応用開発としても意義のある結果が得られた。 3)汎用コロナグラフ実験系の開発:本研究で実験系を立ち上げるにあたっては、上記の実験を実現すると同時に、出来るかぎり汎用性を持たせ、他の方式のコロナグラフの実験もできるようにした。その結果、本研究の発展型となるコロナグラフ実験を行うための拠点をつくることができた。 本研究の成果をもとに、国際会議での発表、査読論文への投稿、国内学会発表などを行った。
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