2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17040004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 誠 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60282109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 崇 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40361133)
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Keywords | ハイパーモバイル水 / アクチン / 誘電スペクトル / ポリアイオネン / ブラウニアン・ラチェット / 拡散制御 |
Research Abstract |
本研究では、溶質の官能基や構造の違いに基づく水構造の差を利用して、物質のブラウン運動の制御、および水構造の差を駆動力としたブラウニアンモーターの実現を図ることを目的としている。すでにわれわれは、筋肉タンパクのアクチンフィラメントや、ヨウ素イオンなどカオトロピックイオン周りにバルク水より誘電緩和周波数の高い水が存在することを見出している。17年度は、ポリアイオネン水溶液のマイクロ波誘電スペクトル測定の結果、アイオネン高分子鎖のまわりの水の誘電緩和周波数は、主鎖の荷電基間の間隔をメチレン基の数nを変えて制御することで、n=2,3ではバルクの水より高い緩和周波数(この水をハイパーモバイル水とよぶ)となり、n=4,6ではバルクの水より低い7GHz程度の緩和周波数となることが観測された。デバイ遮蔽を考慮した静電界強度を概算した結果から、高分子鎖の周りが40-100MV/mの電場強度の場合にハイパーモバイル水が形成されるものと考えられる。このハイパーモバイル水を有するn=2のポリアイオネン水溶液を試料として、PFG-SE NMR法によりプロトン拡散係数測定を行った。その結果、n=6のアイオネン高分子溶液ではプロトン拡散係数は純水のそれより小さくなるのに対し、n=3,n=2と電荷間隔が短くなって電場強度が高くなるほど、ポリマー濃度が2%と高いにもかかわらず、プロトン拡散係数は純水のそれに近い値となった。この結果から、ハイパーモバイル水を形成する高分子鎖の周りの水素結合ネットワークは、純水中のそれより緩んでおり、拡散しやすい状態になっていることがわかった。
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Research Products
(2 results)