2005 Fiscal Year Annual Research Report
さまざまな運動挙動を示す磁性ゲルのアクチュエータへの応用
Project/Area Number |
17040007
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三俣 哲 山形大学, 工学部, 助手 (80322006)
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Keywords | 磁性ゲル / 貯蔵弾性率 / 磁化測定 / 磁場の印加 / 磁性微粒子 / 磁化 |
Research Abstract |
磁性ゲルのアクチュエータとしての応用を行う前段階として、材料の物性の研究を行った。ここでは、合成した磁性ゲルの物性測定結果とその応用への可能性を述べる。 まず1Hzでの貯蔵弾性率とひずみの関係を述べる。強磁性微粒子を含まないPVAゲルの貯蔵弾性率は10^5Paオーダーで、実験したひずみ領域では、振幅ひずみにほとんど依存しない。ゲルに磁性微粒子を充填(φ〜0.39)すると、弾性率は劇的に増加した(〜10^7Pa)。また、10^<-4>程度の非常に小さいひずみから非線形粘弾性を示した。これは、磁性微粒子がゲル中で非常に壊れやすい構造を作っていることに起因すると考えられる。ゲルを磁化させると、線形領域での貯蔵弾性率はほとんど変化せず、非線形領域では低下した。一方、κ-カラギーナンを母相とする磁性ゲルでは、全ひずみ領域で貯蔵弾性率の大きな減少が認められた。κ-カラギーナンゲルを母相とする磁性ゲルでは、磁化の前後で体積は不変だった。試料振動型磁化測定装置(VSM)による磁化測定から、ゲル状態における残留磁化の大きさは、粉末状のバリウムフェライトと同じで、ゲルに充填してもフェライトの磁性が変化しないことがわかった。残留磁化(〜210emu/cm^3)による弾性率への寄与を見積もると、10^3Paオーダーとなり観測された弾性率変化は単に磁気双極子間相互作用では説明できないことを示唆している。磁場を印加すると磁性微粒子は磁化され、微粒子間には磁気的な相互作用が働き、ゲル内部に歪みが誘発される。この微小なひずみにより大きく弾性率が減少するものと推測している。
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