2005 Fiscal Year Annual Research Report
エバネッセント干渉場の位相シフトによる高精度ナノアクチュエータの開発
Project/Area Number |
17040011
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
梅田 倫弘 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (60111803)
|
Keywords | エバネッセント波 / 干渉 / 位相シフト / レーザートラッピング / ナノ粒子 / 位置制御 / アクチュエータ / 近接場光学 |
Research Abstract |
本研究は、エバネッセント干渉場の強度勾配によってナノ物体を捕捉すると共に、干渉位相を連続的に変化させることで干渉場を移動させてナノ物体の移動を行う高精度なアクチュエータの実現を目的とする。具体的には、互いに対向する二つのビームによって生成されたエバネッセント波を干渉させて、光学界面上に干渉場を生成する。その強度勾配によってナノスライダーを捕捉すると共に、干渉場を作るための光束の光学的位相を連続的に変化させることで位相シフトを与えて干渉場を移動させ、ナノスライダーの移動制御を行う。これによって光波長を基準とする高精度なアクチュエータを実現できる。 本研究の特徴は、位相シフト量の制御によりエバネッセント干渉場を2次元面内で定量的に移動できる手法を構築することにある。これによって干渉場に捕捉されたナノ物体は、波長によって完全に校正された変位量だけ移動できることになる。この特徴を実証するため、今年度は以下のことを明らかにした。 1)エバネッセント干渉場の基礎特性 プリズムに全反射角で対向するように2本のYAGレーザー(現有設備)ビームを入射させ、プリズム表面にエバネッセント干渉場が形成した。界面の上方から収集型近接場光学顕微鏡(SNOM)の光プローブおよび高感度CCDを用いた光学顕微鏡によってその干渉強度分布を観察し、よりコントラストの高い入射角やビーム強度を明らかにした。 2)エバネッセント干渉場の位相シフトによる移動 干渉場を形成するための2本の光束のうちの一方の光学的位相を変化させることで位相シフトを与えて、干渉場がプリズム面内で移動することを確認した。位相シフトを与える方法として、2π以上の連続的な位相変化を作るために、偏光光学系を用いた幾何学的位相に基づく位相シフト法を導入し、これによって干渉場を高精度にかつ連続的にプリズム平面内で移動出来ることを明らかにした。
|