2005 Fiscal Year Annual Research Report
高温対応圧電アクチュエータを目指した高Tc及び高結合強誘電体単結晶の合成と評価
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17040020
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
武田 博明 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00324971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 貴司 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (80314540)
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Keywords | アクチュエータ / 圧電結晶 / ビスマス層状構造強誘電体 / 単一分域 / ポーリングレス |
Research Abstract |
本研究はビスマス層状構造強誘電体の一つで、T_c=940℃という高いキュリー温度を有するBi_2WO_6(以下、BWO)を、高温アクチュエータ用の圧電単結晶材料として期待し、その結晶作製や特性評価を行うことを目的とする。このBWOは代表的な融液成長方法であるチョクラルスキー法に結晶作製した場合、冷却過程での相転移(T_c)に起因するクラック発生やマルチドメイン化等により良質な単結晶が得られない。本年度は単結晶作製に重点を置き、研究を行った。その成果として、本研究者らは良好なフラックス剤としてLi_2B_4O_7を見いだし、同フラックスを用いて、徐冷法およびブリッジマン法により単一分域結晶の作製に成功した。特に、ブリッジマン法にてc軸方向に対し厚さ4mm以上の単一分域結晶を得ることに成功している。さらに、徐冷法およびブリッジマン法で作製したBWO単結晶の成長様式およびその圧電的性質について調査した。徐冷法により作製したBWO結晶は、背面反射ラウエX線回折により{001}面が発達した板状結晶であり、強誘電特性評価から板状面内に自発分極軸が存在することがわかった。また、偏光顕微鏡により観察したところ、結晶表面に成長縞が見られたため、成長縞に対して平行、垂直および45°傾けてカットした基板試料の周波数インピーダンス特性を評価した。結果、カット方位の圧電モードの違いから結晶軸の同定を行うことができ、成長縞から自発分極方向の判断が可能となった。ブリッジマン法により作製したBWO結晶は、X線回折実験より<100>or<010>に成長していることが分かった。そこでこの結晶の成長方向に対して電極を形成し、周波数インピーダンス特性を調べた結果、as-grown結晶で共振・反共振ピークが観測された。これはas-grown結晶が単一分域結晶であることを意味し、作製したBWO結晶は強誘電体でありながらポーリング処理を行わず圧電結晶材料として利用可能であることがわかった。
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