2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17040022
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
香川 明男 長崎大学, 工学部, 教授 (00093401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貝 猛 長崎大学, 工学部, 助教授 (60253481)
水本 将之 長崎大学, 工学部, 助手 (90325671)
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Keywords | 水素貯蔵合金 / アクチュエータ / バナジウム合金 / パラジウム合金 |
Research Abstract |
水素吸蔵合金は、水素吸脱蔵時に10〜30%の大きな体積変化を示すことが知られており、熱膨張と比較してその膨張は数十倍にも及ぶ。また、相変態を利用するため水素吸蔵合金を利用したアクチュエータは大きな駆動力が期待できる。本申請課題では、耐久性に優れ、微粉化が生じ難く、加工が容易なバナジウム基水素吸蔵合金およびパラジウム基水素吸蔵合金を用いて、合金の水素吸脱蔵時の体積変化を曲げ挙動に変換するモジュールを作製し、その動作特性を明らかにすることを目的とした。V-5at%Ti合金を用いて曲げモジュールを作製して、水素吸蔵時の変形挙動を調べた結果、水素導入直後からメッキ方向に変形を開始し、V-5at%Tiにおいては100秒で試料上端は約20mmの変位を示した。続いて排気したところ、わずかに変位は回復したが、完全に元の形状に回復することはなかった。これは合金の脱蔵時の圧力が低すぎたために水素を放出することができなかったと考えられる。また、Pd-11at%Ni合金のpct曲線を測定した結果、吸・脱蔵時のプラトー圧が1気圧近傍にあり、ヒステリシスも小さく、アクチュエータに適した組成であることがわかった。また、Pd-11at%Ni合金の水素吸蔵合金試料の変位の経時変化は、水素導入後10分で約20mm変位するまでほぼ一定の速度で変形した。次に、さらに変形後の試料を排気したところ2時間で約75%の変位の回復が観察された。サイクル変形試験を行った。7サイクル目の変形速度と、1サイクル目の水素吸脱時の変形速度を比較すると、7サイクル後の変形速度は大幅に減少した。これは、サイクル試験を繰り返す過程で合金内の水素が完全に脱蔵されずに再度吸蔵させると、濃度が高い方へ水素が拡散するUp-hill拡散が起きたためであると考えられる。
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