2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルミナ超膜をプロトン導電性固体電解質とした水素センシングデバイス
Project/Area Number |
17041005
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
栗田 典明 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (20242901)
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Keywords | 酸化膜 / プロトン伝導体 / 起電力 / アルミナ膜 / NiAl合金 / 水素センサー / 水素濃淡電池 / ナノイオニクス |
Research Abstract |
本研究は耐酸化保護性のある金属酸化膜、特にアルミナ膜をプロトン伝導性固体電解質としたナノスケールの薄膜型水素センシングデバイスの開発を試みる研究である。本年度は研究計画に記載したように、特に基材となる金属表面に酸化膜が生成したときの基材金属への水素のポンピング現象の解明を、ガス中の酸素ポテンシャルにより酸化、還元の制御が容易なFeを用いモデル実験を行った。水素のポンピング量の測定には研究室の開発した水素透過量測定装置を用いた。実験の結果、以下のことが明らかになった。(1)Feの酸化膜生成時には、過剰の水素が基材Fe中にポンピングされること。(2)酸化還元を繰り返すことにより過剰に基材Fe中にポンピングされる水素量が減少すること。(3)酸化膜を十分に還元した後に、再び酸化雰囲気に曝した場合、再び過剰に水素が基材Fe中にポンピングされること、等が明らかになった。しかしながら、水素のポンピング現象に関しては傾向は明らかになったが、定量的には再現性があまり得られておらず、今後この点に関して来年度はより詳細な解析を行う。 一方、本研究の最終的な目標である、酸化膜型の水素センシングデバイスの基材金属に対する検討も本年度の後半より行った。その結果、βNiAlが最も適当な合金であると考え、その実験を行った。始めにβNiAl表面に生成するアルミナ膜は、合金成分よりNiをドープしたアルミナ膜となっていると考えられる。そこで、Niドープアルミナ焼結体を作製し電気伝導度の水素同位体効果の測定を行った。その結果、900℃において同位体効果が確認でき、Niドープしたアルミナはプロトン導電体となっていることがわかった。また、実際にβNiAlの合金に生成したアルミナ酸化膜に生じている起電力の測定を行ったところ、100mV程度の起電力が生じており、気相中の水素活量の変化に応答することが明らかになった。
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Research Products
(3 results)