2005 Fiscal Year Annual Research Report
高リチウムイオン伝導体ナノ粒子を利用した遷移金属イオン付活型高強度蛍光体の創製
Project/Area Number |
17041016
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
稲熊 宜之 学習院大学, 理学部, 教授 (00240755)
|
Keywords | 蛍光 / リチウムイオン伝導 / イオン交換 / 希土類 / ペロブスカイト |
Research Abstract |
錯体重合法および固相反応法によりリチウムイオン伝導体を合成し、そのLi^+イオンとイオン交換することにより遷移金属イオンをドープした。分光分析により遷移金属イオンの配位状態を明らかすとともに、遷移金属イオンの配位状態、磁性および蛍光特性の相関を調べた。具体的には溶融塩化物を用いたイオン交換によりペロブスカイト型リチウムイオン伝導体La_<0.55>Li_<0.35>TiO_3(LLT)に遷移金属イオンMn^<2+>およびFe^<2+>を導入し、その磁性を調べた。また、イオン交換法および固相反応法により遷移金属イオンを微量ドープしたペロブスカイト型リチウムイオン伝導体の合成をおこない、それらの発光機構を解明するとともに高強度蛍光体の探索をおこなった。 イオン交換により合成した(La,Mn^<2+>)TiO_3は常磁性を、一方、(La,Fe^<2+>)TiO_3は強磁性的挙動を示した。(La,Fe^<2+>)TiO_3の局所構造を走査型および透過型電子顕微鏡により調べたところ、粒界のFe濃度が高く、強磁性的挙動はこのことに起因する可能性が示唆された。イオン交換によりLLTへ遷移金属イオン(Mn^<2+>,Fe^<2+>,Pr^<3+>,Eu^<3+>およびTm^<3+>)を微量ドープし、発光特性について調べた結果、すべての試料において顕著な発光はみられなかった。一方、通常の固相反応により合成したLa_<0.55>Li_<0.35>TiO_3:Pr(LLTPr)およびSr_<0.6>Li<0.3>Ti_<0.5>Ta_<0.5>O_3:Pr(SLTTPr)は目視できるほどの強い発光を示した。このことから、イオン交換によりドープしたPr^<3+>の配位環境は固相反応法によりドープした場合と異なることがわかった。LLTPrはこれまでの報告と同様に母体のバンドギャップ励起過程が主であり赤色発光を示した。一方、SLTTPrは、バンドギャップ励起よりもPr^<3+>のf-f遷移に対応する励起の方が顕著であり、このとき青緑発光と赤色発光がみられた。
|
Research Products
(4 results)