2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波プロセスによる階層構造構築と希土類機能発現
Project/Area Number |
17042005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝沢 博胤 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (90226960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 大和 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (60396455)
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Keywords | メゾスコピック系 / マイクロ波加熱 / 非平衡反応場 / 相分離 / スピノーダル分解 / 選択加熱 / 発光特性 |
Research Abstract |
TiO_2-SnO_2系は、固溶体が分相の際にスピノーダル分解を起こし、変調組織が数nmのメゾスコピック層状組織を形成することが知られている。スピノーダル分解は自己組織化反応であるため、熱処理のみの単純なプロセスでメゾスコピック組織を形成する。本研究では、28GHzと2.45GHzの2つの周波数のマイクロ波を用いて、TiO_2-SnO_2系に希土類元素をドープした場合のメゾスコピック組織形成と蛍光性発現を試みた。どちらの周波数のマイクロ波を用いた場合でも、固相拡散促進効果により、通常の固溶温度よりも低温・短時間での固溶が完了した。しかしマイクロ波加熱ではドーパントを添加しない場合、及びEu_2O_3のみを添加した場合もスピノーダル分解は進行せず、メゾスコピック組織の形成には至らなかった。本系に3価のカチオンを添加した場合、格子間カチオンが生成されるためにカチオンの移動度が増し、相分離速度が増加する。Eu_2O_3を添加した場合にはこの効果が顕著に現れなかった。これはEu^<3+>のイオン半径がTi^<4+>やSn^<4+>に比べて大きすぎるために、格子中へ固溶せず、相分離速度を増加させる程度の格子間カチオンが生成されなかったためと推察される。一方、Eu_2O_3と共に相分離速度の増加に有効であるAl^<3+>を添加した試料にマイクロ波を照射したところ、どちらの周波数から得られた試料もスピノーダル分解が進行していることが確認され、短時間かつ単純なプロセスでのメゾスコピック組織の作製に成功した。SnO_2単体へEu添加した場合にはEu^<3+>の磁気双極子遷移である^5Do→^7F_1遷移に起因するピークが観測されたが、固溶体及び相分離後の試料は蛍光性が低下した。スピノーダル相分離においては、微視的領域での濃度変動が組織形成に深く関与することから、マイクロ波照射下での選択加熱現象による微視領域での熱的非平衡状態の実現が鍵となっていると思われる。
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Research Products
(1 results)