2006 Fiscal Year Annual Research Report
希土類錯体のパノスコピック形態制御による有機EL素子の高次機能化
Project/Area Number |
17042017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大森 裕 大阪大学, 先端科学イノベーションセンター, 教授 (50223970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶井 博武 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (00324814)
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Keywords | 希土類錯体 / 有機EL素子 / 白色発光素子 / ウエットプロセス / ドライプロセス / ユーロピウム錯体 / サマリウム錯体 / 燐光材料 |
Research Abstract |
希土類錯体で特異的な鋭い発光を示すユーロピウム(Eu)錯体、テリピウム(Th)錯体、サマリウム(Sm)錯体を取り上げ、EL素子を作製し、エネルギー緩和過程と発光特性について検討を行った。 有機EL素子の作製は、ITO透明電極基板上に正孔輸送層として水溶性のPEDOT:PSSをスピンコート法により成膜し、加熱処理した後に発光層を積層しEL素子を構成した。ホスト材料にpoly(n-vinylcarbazole)(PVK)、燐光材料にbis:(4,6-difluorophenyl)-pyridinato-N,C2:(picolinato)Iridium(III)(Flrpic),fac-tris(2-phenylpyridyl)Ir(III)(Ir(ppy)_3)およびtris(1-phenyliso quinolinc)iridium(III)(Ir(piq)_3)、Eu錯体にtris(dihenzoyl-methane)-mono(4,7-dimethylphenanthroline)europium(III)(Eu(dbm)_3phen))、Th錯体にtris(3-methyl-1-phenyl-4-trimethyl-acetyl-5-pyrazoline)terbium(III)(Tb(MPTAP)_3),Sm錯体にtris(hexafluoroacethylacetonato)(phenanthroline)samarium(III)mono methanol(Sm(hfa)_3(phen)_2MeOH)を用いた。 PVKに燐光材料(Flrpic,Ir(ppy)_3,Ir(piq)_3)を6wt%ドープした薄膜を用いた。ITO/PEDOT:PSS(35nm)/PVK:PBD:Ir錯体(95nm)/Eu(dbm)_3 phen(20nm)/Alq_3(20nm)/CsF/Mg:Ag/Ag素子から、Flrpicをドーブした場合、470nm付近にIr錯体からの発光以外に、Euからの612nmにピークをもつ鋭い発光が観測された。また、PVKにEu錯体,Tb錯体それぞれにIr錯体Flrpicをドーブした素子から白色発光素子が得られた。 新しく合成されたSm錯体Sm(hfa)_3(phen)_2MeOHのバンドギャップは、直接遷移であると仮定すると、約3.3eVと見積もられる。また、Sm(hfa)_3(phen)_2MeOHをドーブしたPMMA薄膜から564,598,645,710nmにピークをもつ赤色発光を観測した。PVK:PBD:Sm(hfa)_3(phen)_2MeOH素子のELスペクトルのCommission Internationale De L Eclairage(CIE)coordinateは、(0.60,0.36)の赤燈色発光であり、赤色発光のEu錯体に比べ、長波長側の645nmに最大ピークを有す。PBD濃度を最適化しウェットブロセスにより作製した有機EL素子から130cd/m^2を越える発光特性が得られた。このSm錯体は、ドライブロセスで作製した他のSm錯体を比較しても遜色ない発光輝度が得られている。 本研究の成果として、Eu錯体,Th錯体,Sm錯体,Ir錯体を用いた薄膜のエネルギー緩和過程と発光特性について検討を行い、新規Sm錯体を発光材料に用いた有機EL素子をウェットプロセスによって作製し、素子を最適化によりすでに報告されているSm錯体と比較しても遜色ない低電圧駆動、高輝度な素子を作製することができた。
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Research Products
(3 results)