2006 Fiscal Year Annual Research Report
希土類酸化物ナノ・パノスコピック構造体の鋳型合成と特性評価
Project/Area Number |
17042022
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
木島 剛 宮崎大学, 工学部, 教授 (90040451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 剛 宮崎大学, 工学部, 助教授 (40284567)
関田 正實 物質・材料研究機構, 物質研究所・独立研究グループ, 主席研究員 (20354425)
森 寛 都城高等工業専門学校, 助教授 (70157866)
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Keywords | 界面活性剤 / ナノ複合体 / 発光特性 / ユーロピウム / オキシ硫酸イットリウム |
Research Abstract |
本研究では、複合鋳型法によりミクロ・メソ複合多孔質構造等のパノスコピック構造をもつ希土類酸化物を創製するとともに、ナノチューブ・ナノポーラス材料を含む希土類酸化物ナノ及びパノスコピック構造体ならびにこれらを母体とする各種誘導体の発光特性等の物性評価を実施し、高性能発光素子、触媒、キャパシタに関わる基礎技術を開発することを目的としている。 前年度は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)存在下で生成したEu(III)ドープ層状複合体を1000℃で焼成するとY_2O_2SO_4:Euが生成し、さらにその発光強度は、SDSの代わりに硫酸ナトリウム(SS)を用いて得られた同じ組成のY_2O_2SO_4:Euの約3倍に増強されることを明らかにした。 本年度はまず、Y(NO_3)_3、EuCl_3、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、尿素およびH_2Oの1-x:x:2:30:60(モル比)混合溶液を80、86、87℃の各温度で5時間反応させると、各々平面層状(S-type)、同心円層状(C-type)、層状→六方遷移層状(T-type)構造をもつナノ複合体が生成することを見い出した。これらを1000℃で焼成すると、いずれもの組成Y_2O_2SO_4:Euのオキシ硫酸塩に変換されるが、その発光強度はT-type由来体がS-type由来体の2倍、C-type由来体は同じく3倍に増強されることが明らかになった。励起および紫外可視吸収スペクトルの強度の序列が発光強度の序列と一致することから、前駆複合体の同心円層状構造を起源とするEu(Y)サイトの特異な結晶場に起因するものと推定される。すなわち、同心円層状のドデシル硫酸基層が焼成により平面層状の硫酸基層に移行する過程で生じた四面体状SO_4基の変形が、Y_2O_2:Eu層とSO_4層との繰り返しから成る結晶構造中のEu(Y)サイトの周りの酸素の配位構造の変化を引き起こし、その結果、Eu価電子の基底状態から励起状態への電子励起の確率が増大したためと考えられる。 以上の成果をまとめた論文は、現在専門誌に投稿中である。
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Research Products
(3 results)