2005 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子による幹細胞の増殖、生存及び未分化性維持の分子機構の解析
Project/Area Number |
17045008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 典子 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10251448)
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Keywords | 胎盤 / FGF受容体 / アダプター分子 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
いくつかの多能性幹細胞において、その維持や増殖、あるいは分化の初期段階において、増殖因子のひとつFGFが重要な役割を果たしていることが最近明らかになってきている。 私は、新しいアダプター/ドッキング分子FRS2に注目し、解析した結果、これらの分子がFGFのシグナル伝達に深く関わり、幹細胞を制御していることを見い出している。本年度は以下の結果を得た。 1.私は、FRS2alphaの機能を一部分失わせたマウスをgene targetingにより作製、解析している。そのひとつShp2結合部位欠失マウスは、大脳皮質の発生が悪い。このマウスを解析した結果、神経幹細胞の異常があることがわかった。神経幹細胞から、intermediate progenitor cellsへの分化がこのマウスではうまくいかないことがわかり、この分化のステップにFRS2alphaのShp2結合部位が必須であることがわかった。また、in vitroでFGF2存在下にneurosphereの形成能を調べると、この変異マウス由来の神経幹細胞は、小さいneurosphereしか形成できないことから、neurosphere細胞の増殖に、FRS2alpha Shp2結合部位は必須であることがわかった。 2.FRS2alphaのノックアウトマウスを作製、解析した結果、FRS2alphaは、胎盤の幹細胞trophoblast stem(TS)細胞の維持に必須であることを見い出した。さらに、FRS2alphaは、FGF4の下流で、TS細胞内で転写因子Cdx2の活性化を介し、この分子がBmp4のエンハンサーに結合することにより、Bmp4の産生を誘導していることを見い出した。さらに、Bmp4は、epiblastに働いて、epiblastの成長を促すことも明らかにした。
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Research Products
(2 results)