2006 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子による幹細胞の増殖、生存及び未分化性維持の分子機構の解析
Project/Area Number |
17045008
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 典子 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10251448)
|
Keywords | 胎盤 / 神経 / アダプター分子 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
我々のこれまでの研究より、増殖因子のひとつFGFが、様々な組織幹細胞の維持増殖に重要な役割を果たしていることが明らかになっている。本年度は、特に以下の成果を得た。 1.哺乳動物初期胚内において、転写因子Cdx2は、Bmp4の転写活性化を起こすことによって、幹細胞ニッチを維持している。 これまでに、FGFやBmp4などのサイトカインは、in vitroで組織幹細胞を培養する際に必須の因子であることが示されてきた。しかしこれらサイトカインが、実際に個体内でどのような役割を果たしているか不明であった。哺乳動物の初期胚内では、ES細胞を含む内部細胞塊及び胎盤の幹細胞であるTS細胞が同時に維持されている。我々は、FGF4によって未分化性を維持しているTS細胞内で、FGF4の刺激によってCdx2が発現誘増され、Bmp4のプロモーター領域に結合し、Bmp4の発現を活性化することを見いだした。さらに、Bmp4は分泌されると、近接している内部細胞塊の増殖に重要であることを見いだした。すなわち、内部細胞塊とTS細胞が近接しているニツチにおいて、TS細胞内のCdx2がFGF4の刺激に応じてBmp4を産生し、その微妙なバランスによって、二種類の幹細胞がうまく維持されていることがわかった。 2.ドッキング分子FRS2alphaは、神経幹細胞の増殖のみならず自己複製能維持にも重要な役割を果たしている。 これまで我々は、FRS2alphaの変異マウスの解析より、FRS2alphaが、神経幹細胞の増殖に重要であることを示してきた。今回、レトロウイルスを用いた強発現系及び、siRNAによるノックダウン法を用いて、FRS2alphaが神経幹細胞の自己複製能維持にも必須であることを見いだした。
|
Research Products
(2 results)