2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト臍帯血、成人骨髄血、胚性幹細胞に用いた幹細胞の可塑性の研究
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17045012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 浩一郎 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50179991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 康博 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40302608)
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Keywords | ヒト胚性幹細胞(ES細胞) / 胎仔肝 / ストローマ細胞 / 多能性造血前駆細胞 / 混合コロニー形成細胞 / 肥満細胞 / 抗アレルギー薬 |
Research Abstract |
ヒトES細胞の臨床応用、特にヒトES細胞由来薬理効果評価細胞、とりわけ抗アレルギー薬の効果判定のための肥満細胞の産生の可能性について検討した。 ヒトES細胞をマウス胎仔肝由来ストローマ細胞と共培養すると、培養10日目頃よりMix-CFCは産生された。そこで、培養14日目に採取されたMix-CFCを、SCF(stem cell factor)、FL(Flk2-Hgand)、IL(interleukin)-3、IL/6、G-CSF(granulocyte colony-stimulating factor)、EPO(erythropoietin)、TPO(thrombopoietin)等の種々のサイトカイン存在下で液体培養すると、赤血球系細胞、巨核球系細胞、顆粒球系細胞、肥満細胞等様々な血液細胞が産生された。特に、培養2週間後には、培養液中には多くの肥満細胞が出現したが、これらの肥満細胞の大部分はtryptase(+)chymase(-)のT型肥満細胞(粘膜型肥満細胞)であった。培養1ヶ月頃には、一部にはtryptase(+)chymase(+)のTC型肥満細胞(組織型肥満細胞)も認められたが、多くはT型肥満細胞のままであった。 一方、マウス胎仔肝由来ストローマ細胞と14日間共培養されたヒトES細胞をSCFなどのサイトカイン存在下で直接液体培養すると、培養1週間目にはtryptase(-)chymase(+)細胞が出現し、培養1ヶ月後にはその多くはtryptase(+)chymase(+)のTC型肥満細胞となった。 以上の結果から、胎生期における肥満細胞の発達には、多能性造血前駆細胞を介して肥満細胞が産生される経路の他に、早期にTC型組織型肥満細胞を産生する経路が存在する可能性が示唆され、ヒトES細胞は、抗アレルギー薬の効果判定のための肥満細胞の供給源となると考えられた。
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