2006 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞由来のリンパ管内皮前駆細胞への分化誘導因子の同定
Project/Area Number |
17045014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 徹郎 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (00334235)
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Keywords | 血管 / リンパ管 / ES細胞 / 再生医療 / 癌 |
Research Abstract |
リンパ管は血管とともに生体内の恒常性の維持、代謝、免疫応答など生理的に重要な役割を担っているだけでなく、悪性腫瘍の転移などの病的状態にも関与していることが示唆されている。しかし、リンパ管の発生・新生を調節する分子機構には未解明な部分が多い。ホメオボックス転写因子Prox1は脈管系においてはリンパ管内皮細胞に特異的に発現し、そのノックアウトマウスにおいて静脈からのリンパ管の発芽が停止することから、リンパ管の発生に必須の転写因子であることが知られている.私は血管内皮細胞がリンパ管内皮細胞へと分化する過程でのProx1の機能を解析するために、マウス胚性幹(ES)細胞由来血管細胞におけるProx1の作用を検討している。昨年度は血管細胞においてProx1がVEGF受容体、PDGF受容体、integrin α9などの発現を調節することで、内皮細胞の運動性や走化性を調節し、リンパ管発生・新生において重要な役割を果たしていることを示した。今年度はProx1によるリンパ管分化調節機構をさらに詳細に解析するために、ES細胞由来血管細胞においてProx1を発現させたサンプルを用いてcDNAマイクロアレイによるProx1標的遺伝子の網羅的解析を行った。その結果,昨年度同定された標的遺伝子に加えてInhibitor of Differentiation(Id)などの遺伝子の発現の上昇が認められた。Idは血管内皮細胞の運動性を亢進することが報告されており、integrin α9などの遺伝子と協調してProx1による運動性の亢進において重要な役割を果たしていることが示唆された。
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[Journal Article] Prox1 Induces Lymphatic Endothelial Differentiation via Integrin α9 and Other Signaling Cascades.2007
Author(s)
Mishima K, Watabe I, Saito A, Yoshimatsu Y, Imaizumi N, Masui S, Hirashima M, Morisada T, Oike Y, Araie M, Niwa H, Kubo H, Suda T, Miyazono K
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Journal Title
Molecular Biology of the Cell. 18
Pages: 1421-1429
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