2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17045016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
多田 高 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (30188247)
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Keywords | リプログラミング / 細胞融合 / 胚性幹細胞 / ヒストン / クロマチン |
Research Abstract |
NANOGは、ホメオドメインをもつ転写因子で未分化性維持に必須の役割を果たすことが遺伝子欠損実験から明らかになっている。NANOGの発現は転写開始点上流のOctamer/Soxエレメントに結合するOCT4やSOX2等の因子により未分化細胞への特異的発現を制御しつつp53やGCNF等の因子の5'または3'領域への結合により発現レベルが調節されると考えられている。しかし、NANOG蛋白質の働く仕組みや機能調節機構は手つかずのまま残された問題である。 我々のウエスタンブロット解析の結果、NANOGの分子量はDNA塩基配列から予測されるものよりも大きく、翻訳後修飾を受けている可能性が示唆されていた。フォスファターゼ(脱リン酸化)処理により、NANOGの分子量が大幅に減少することから、高度にリン酸化された蛋白質であることが示された。NANOGのN-末端にはセリン残基が集積しているが、それぞれをアラニン残基と置換することでリン酸化セリン残基を同定した。リン酸化の有無により、NANOGの細胞内局在や結合DNAへの親和性に顕著な変化は見られなかった。興味深いことに、細胞周期を同調させNANOGリン酸化を経時的に観察したところ、G2後期〜M期にリン酸化の程度が顕著に上昇することが明らかになった。細胞周期依存的NANOGリン酸化は、NIH3T3繊維芽細胞に強制的に発現させたNANOGにおいても、ES細胞の内在的NANOGにおいても観察された。NANOGのリン酸化をもたらすKinase同定の目的で、M期arrest細胞をKinase特異的リン酸化阻害剤で処理したところ、Cdksの阻害剤で著しくリン酸化の減少が見られた。リン酸化がNANOGの機能に何らかの影響を及ぼしている可能性が高い。
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Research Products
(5 results)