2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリコーム複合体によるDNA複製ライセンス化制御の造血幹細胞における役割
Project/Area Number |
17045024
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
瀧原 義宏 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60226967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 素秋 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (10211799)
安永 晋一郎 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (50336111)
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Keywords | ポリコーム遺伝子群 / 幹細胞 / 幹細胞性 / Geminin / DNA複製ライセンス化 / 再生医療 |
Research Abstract |
ポリコーム遺伝子群(PcG)が幹細胞の活性を維持するために必須な役割を果たしていることを世界に先駆けて明らかにした。その後、ES細胞から造血幹細胞、神経幹細胞、神経堤細胞などの成体幹細胞の全般に渡ってPcGの働きが及んでいることが報告されてきたが、その分子基盤については未だ充分には明らかにされていない。現在のところ、PcGは細胞老化を制御しているINK4a遺伝子座の転写を直接抑制することによって幹細胞の活性を維持していると考えられている。しかし、PcGによって幹細胞活性が支持される分子基盤には新たに重要な側面があることが予測される。そこで、本研究では独自に確立した幹細胞機能が極度に低下したRae28欠損マウスを用いて、PcGがどのような分子基盤で幹細胞機能を維持しているかについて細胞生物学的解析だけでなく、生化学的解析を進めた。Rae28は他のPcGのメンバーとともにPcG複合体1を構成しているが、PcG複合体1は構成因子の一つであるScmh1を介してDNA複製ライセンス化因子Cdt1の阻害因子Gemininと結合し、Gemininをユビキチン化するためのE3ユビキチンリガーゼを構成していることを複合体を再構成して証明した。そしてさらに、Rae28欠損マウスにおいてはE3ユビキチンリガーゼの活性低下によってGemininが安定化し蓄積するために、幹細胞機能が低下することを明らかにした。これらの一連の解析によって、Geminin-Cdt1システムとその制御機構が幹細胞活性を支持する重要な分子基盤を構成していることが明らかになった。これらの知見は今後の幹細胞の研究や再生医療の開発のために重要な情報を提供することが期待される。
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Research Products
(9 results)