2005 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエにおける生殖幹細胞ニッチの形成機構とシグナル分子の探索
Project/Area Number |
17045033
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
浅岡 美穂 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助手 (40370118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広海 健 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 教授 (70291888)
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Keywords | 幹細胞 / 幹細胞ニッチ / 生殖細胞 / ショウジョウバエ / 始原生殖細胞 / 卵巣 / RNAi |
Research Abstract |
幹細胞は自己複製的な分裂により未分化状態を保ちながら、一方で分化した娘細胞を継続的に生み出すという特質を持ち、成体組織の新陳代謝や損傷部分の補修に中心的な役割を果たしている。この幹細胞の特質は幹細胞を取り囲む微小環境(幹細胞ニッチ)より維持されることが明らかにされつつあるが、幹細胞ニッチや幹細胞の形成機構については未だ不明なままである。 私たちはショウジョウバエ卵巣の生殖幹細胞をモデル系として、幹細胞と幹細胞ニッチの形成機構の解明を目指している。これまでにlineage解析により、胚発生期に生殖巣前半部を構成する体細胞と接している始原生殖細胞のみが生殖幹細胞になり、その他の細胞は直接卵細胞への分化過程に入ることを明らかにした。すなわち、生殖幹細胞への運命決定には胚の生殖巣前半部にある体細胞が作る微小環境が重要であると考えられる。この仮説を確かめるため、本研究では、胚の生殖巣前半部の体細胞で発現し、生殖幹細胞の形成に必要な遺伝子の同定を試みた。まず、既存の遺伝子発現databaseを用いたin silico解析により1次スクリーニングを行い、胚の生殖巣の体細胞で優勢的にmRNAを発現する遺伝子を103個同定した。in situ hybridization法によりこれらの遺伝子のmRNAの発現を詳細に調べた結果、5個の遺伝子(5%)は生殖巣前半部で特異的に発現し、92個の遺伝子(89%)は胚の前半部を含む生殖巣全体で発現することが明らかとなった。残りの6個の遺伝子は生殖巣後半部で特異的に発現した。次に、2次スクリーニングとして、誘導型RNAiを用いて胚の生殖巣の体細胞中でこれらの遺伝子の機能を阻害し生殖幹細胞の形成が阻害されるか否かを調べた。現在までに32個の遺伝子について解析が終了し、生殖幹細胞の形成または生存に必要な遺伝子を8個、ニッチ細胞の形成そのものに必要な遺伝子を1個新たに同定した。
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Research Products
(3 results)