2006 Fiscal Year Annual Research Report
始原生殖細胞の形成直後の発現するnanos3の機能解析
Project/Area Number |
17045035
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
三井 薫 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (40324975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相賀 裕美子 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (50221271)
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Keywords | 始原生殖細胞 / RNA結合タンパク質 |
Research Abstract |
Nanos3は始原生殖細胞(PGC)において形成初期から生殖巣到達直後まで発現するRNA結合タンパク質でnanos3を欠損したマウス成体では雌雄共に生殖巣が顕著に矮小化しており、生殖細胞を完全に欠損する。我々は、Nanos3を欠損したPGCが移動期にアポトーシスを起こして失われること、その一部が細胞死誘導因子Baxを欠損させることでレスキューされることを報告した。しかしNanos3,BAX-ダブル欠損マウスでもかなりの数のPGCが失われることから、Nanos3が欠損すると体細胞系列に分化する可能性が考えられた。その点を明らかにするために、Nanos3遺伝子座にCre recombinaseをノックインしたマウス(Nanos3-cre)を作成し、細胞系譜を解析した。その結果、残念ながら我々の作成したマウスにおいては、一部のPGCにしかCre recombinaseの発現が誘導できないことがわかった。この原因に関しては不明であるが、少なくとも、Nanos3-creを発現した細胞系譜はほぼ生殖細胞に限局されており、Nanos3欠損マウスにおいては、Cre recombinaseを発現した細胞系譜は完全に消失し、かつ体細胞系譜にレポーター活性を有する細胞はみられなかった。したがって、Nanos3欠損マウスではほぼすべての生殖細胞は消失する。さらに、Nanos3/BAXダブル欠損マウスにおいても同様の細胞系譜追跡実験をおこなった。この場合はレスキューされた生殖細胞はレポーター活性を有するがやはり体細胞に分化した細胞は観察されなかった。このことから、生殖細胞消失の原因が、Nanos3を欠損することにより生殖細胞の性質が失われて体細胞に分化することである可能性は、ほぼ否定できると思われる。
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Research Products
(2 results)