2005 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹細胞から未分化神経幹細胞を経て神経幹細胞へ分化する分子機構の解析
Project/Area Number |
17045036
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
等 誠司 生理学研究所, 分子生理研究系, 助教授 (70300895)
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Keywords | 神経幹細胞 / 未分化神経幹細胞 / ES細胞 / Epiblast / Leukemia inhibitory factor / Fibroblast growth factor-2 / Vascular endothelial growth factor / Flk1 |
Research Abstract |
神経幹細胞は全ての神経細胞・グリア細胞の起源であり、哺乳類脳の発生・構築に重要であるにもかかわらず、神経組織発生初期における神経幹細胞自体の生成の分子機構は、不明な点が多い。我々はこれまでに、マウス胚性幹細胞(ES細胞)からleukemia inhibitory factor (LIF)依存性未分化神経幹細胞をin vitroで誘導できること、マウス胎生5.5-7.5日胚にもLIF依存性に増殖し浮遊細胞塊を形成する細胞が存在することを報告してきた。本研究では、多能性幹細胞からLIF依存性未分化神経幹細胞、未分化神経幹細胞からfibroblast growth factor-2 (FGF2)依存性神経幹細胞へと分化していく際に働く因子として、vascular endothelial growth factor (VEGF)-Flk1シグナルに注目して研究を行った。VEGFシグナルは血液系や血管系の発生に必須であることが知られているが、神経幹細胞・前駆細胞が存在する脳室下層にもFlk1が発現していることから、神経幹細胞・前駆細胞の維持にも関与している可能性がある。Flk1^<-/-> ES細胞およびVEGF添加培養を用いた解析から、VEGF-Flk1シグナルは未分化神経幹細胞の形成に対して抑制的に働くことが示唆された。一方、神経幹細胞特異的Flk1コンディショナルノックアウトマウスの解析より、胎生期および成体脳ではVEGFがneurosphereの形成を増加させることから、VEGF-Flk1シグナルは神経幹細胞の維持に促進的に働くと考えられた。以上の結果より、VEGF-Flk1シグナルは早期胚における中枢神経系の発生にも非常に重要な役割を果たしている可能性が示された。さらに今後、細胞内シグナル伝達の解明が必要と考えられた。
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[Journal Article] An N-glycans structure correlates with pulmonary metastatic ability of cancer cells.2006
Author(s)
Sakuma K, Fujimoto I, Hitoshi S, Tanaka F, Ikeda T, Tanabe K, Toyokuni S, Wada H, Mio T, Mishima M, Ikenaka K
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Journal Title
Biochemistry Biophysics Research Communication 340
Pages: 829-835