2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17045037
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大沢 匡毅 独立行政法人理化学研究所, 幹細胞研究グループ, 研究員 (10344029)
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Keywords | 幹細胞 / 色素細胞 / アポトーシス / Bcl2 / Notch signaling |
Research Abstract |
1.色素幹細胞の維持機構を明らかにするために、色素幹細胞を単離しマイクロアレー法により遺伝子発現を行った。その結果、色素幹細胞および未分化色素細胞では、Notchシグナル系が活性化している結果が得られた。Notchシグナル系の役割を調べる目的で、色素細胞特異的にNotchシグナルを伝達する転写因子であるRPB-Jk遺伝子をコンディショナルにノックアウトするマウスを作成し、その表現型を解析した。このマウスでは、胎児中の未分化色素細胞の多くがアポトーシスにより死滅し、その結果体、生直後から生じる体毛色が著しく失われた。同時に、2回目以降から生じる体毛は完全に毛色を失うことから、色素幹細胞の維持にも異常があることが示唆された。免疫組織染色により色素幹細胞を解析したこところ、このノックアウトマウスでは生後6日目以降色素幹細胞が失われていくことから、Notchシグナルは色素幹細胞の生存にも重要な働きを担っていることが示めされた。 2.抗アポトーシス分子であるBcl2遺伝子のノックアウトマウスは生後2回目以降から生じる体毛が白髪化する。白髪化のメカニズムを知る目的で、免疫組織染色によりBcl2ノックアウトマウスの色素幹細胞の動態をしらべた。その結果、Bcl2ノックアウトマウスでは生直後から生後4日目の間に毛包のバルジ部位に存在する未分化色素細胞が消失していくことが分かった。この結果より、Bcl2は、色素幹細胞が生じるときにその生存を維持する上で重要な役割を果たしていることが考えられた。この時期には毛包において未分化色素細胞の生存に必須なSCFの発現が低下していくことから、Bcl2はSCF/c-Kitシグナルが低下したときに色素細胞の生存を維持する役割をはたしていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)