2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパラナーゼの局在化によるヘパラン硫酸分解活性の制御と生体内の細胞交通の制御
Project/Area Number |
17046002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東 伸昭 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (40302616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入村 達郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80092146)
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Keywords | ヘパラナーゼ / プロテオグリカン / 炎症 / モノクローナル抗体 / マスト細胞 / ヘパリン / 細胞内輸送 / RNAi |
Research Abstract |
免疫細胞によるヘパラン硫酸、ヘパリンなどグリコサミノグリカンの分解は、炎症時の血管外浸潤に伴う基底膜の通過、細胞外マトリクスに保持された生理活性物質の切り出し、さらに顆粒内における生理活性物質の貯蔵などに関与するものと考えられる。これらグリコサミノグリカンの分解を司る酵素としてヘパラナーゼに着目し、その細胞内分布と活性調節、病態への関与を検討した。 昨年度に確立したマウスヘパラナーゼに対するモノクローナル抗体16種類の性状解析を行った。プロ型ヘパラナーゼを免疫原に用いたにも関わらず、確立された抗体はすべてプロ型・成熟型ヘパラナーゼの両方に結合した。また酵素活性の発現に重要なN末端側の(α/β)_8 TIM barrel構造に結合する抗体、C末端側に結合する抗体が見出され、少なくとも2種類のエピトープの存在が示された。 得られた抗体による免疫組織染色の結果、マウスでは正常皮膚の真皮内にヘパラナーゼ高発現細胞が散在することを見出した。この皮膚の細胞は、細胞内に顆粒を有すること、toluidine blueによって染色されることから、皮膚に常在する結合組織型のマスト細胞であることが示された。腹腔常在性の細胞から取得したマスト細胞も同様にヘパラナーゼを高発現しており、特にその顆粒内に分布していた。これらの細胞が外因性のヘパラナーゼを効率よく取り込むことを見出した。ヘパラナーゼの発現抑制系として、GFP-ヘパラナーゼ蛋白質の発現抑制を指標として、ヘパラナーゼ発現を効率的に抑制するsiRNA配列の決定に成功した。骨髄細胞からサイトカイン依存的に分化させて調製したマスト細胞、もしくはマスト細胞株におけるヘパラナーゼの発現抑制を達成し、細胞内におけるヘパリンの断片化や顆粒内への生理活性物質の貯蔵、細胞の浸潤や生体内での体内動態などに対する影響を検討する予定である。
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Research Products
(5 results)