2005 Fiscal Year Annual Research Report
β4-ガラクトース転移酵素-I欠損によるIga腎症発症機構の解析
Project/Area Number |
17046005
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
浅野 雅秀 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (50251450)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 憲佳 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教授 (50242524)
成瀬 智恵 金沢大学, 学際科学実験センター, 助手 (30372486)
杉原 一司 金沢大学, 医学系研究科, 技術職員 (10377418)
|
Keywords | IgA腎症 / ガラクトース転移酵素 / 高IgA血症 / 遺伝子ノックアウトマウス |
Research Abstract |
我々はβ-1,4-ガラクトース転移酵素-I(β4GalT-I)欠損マウスが、IgA腎症様病態を発症することを見いだした。β4GalT-I欠損マウスの腎臓糸球体の病理像は、ヒトIgA腎症の診断基準に合致するものであった。さらに、この欠損マウスは高IgA血症と血清IgAの多量体形成を示し、これらもIgA腎症患者によく見られる現象である。マウスはヒトと異なりIgAのヒンジ領域にO型糖鎖の結合部位が存在しないが、ヒトIgA1と同じようにN型糖鎖は2か所に結合し、欠損マウス由来の血清IgAのN型糖鎖は完全にガラクトースが欠損していた。さらに、コントロールマウスの腎臓を欠損マウスに移植したところ、移植腎に対して若干ながらIgAの沈着が認められたことから、腎臓の糖鎖不全ではなく、IgAの糖鎖不全がこのIgA腎症の原因である可能性が示唆された。 IgAの糖鎖不全に加えて高IgA血症がIgA沈着の重要な因子と考えられ、その原因としてIgAの粘膜輸送、産生、代謝などの異常が考えられた。まず、糞便中のIgA濃度を定量したところ、欠損マウスとコントロールマウスに差はなかったことから、IgAの粘膜輸送は正常であることが示唆された。また、脾臓、パイエル板、腸間膜リンパ節におけるIgA陽性細胞率は、いずれもコントロールより高い傾向が見られたが、10倍近い血中IgA濃度の上昇を説明できる程ではなかった。さらに、各々のマウス由来の血清IgAをRIで標識して、B6マウスに静注して血中代謝速度を解析した結果、欠損マウス由来の糖鎖不全IgAは正常IgAに比べ、投与後30分間は代謝速度が遅くなったが、60分後には差は認められなかった。以上の結果は、一つの原因ではなく、複合的な原因が高IgA血症を引き起こしている可能性が考えられたが、さらに解析を進める必要がある。
|
Research Products
(3 results)