2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17046023
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
相賀 裕美子 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (50221271)
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Keywords | 体節形成 / Mesp2 / Lunatic Fringe / 分節境界 / Notchシグナル / 前後極性 |
Research Abstract |
脊椎動物の分節性の基盤となる体節の形成過程は、未分節中胚葉の後方におけるNotch関連遺伝子の周期的な発現(いわゆる分節時計)が分節直前に停止し形態的な分節構造として翻訳されることにより完結する。この過程でNotchシグナルは中心的な役割を持つ。興味深いことにマウスの体節形成過程において、Notchレセプターの細胞外領域を糖修飾する酵素lunatic fringe (L-fng)は未分節中胚葉の後方において、その発現が振動し、発現ドメインが後方から前方に移動する。我々はNotchシグナル活性を特異的に検出する抗体を用いて解析し、Notch活性の振動はL-fngによって負に制御されることをしめしてきた。しかしその分子機構には不明な点が多い。また一般に知られているFringの機能とは矛盾する。我々はまずL-fngタンパク質を可視化できないかと考え、L-fngとYFPの融合遺伝子をL-fng遺伝子座にノックインしたマウスを作成した。キメラマウスは作成され、ノックインマウスの作成には成功した。しかしES細胞の選択に用いた耐性遺伝子を抜くために、CAG-creマウスと交配したところ、ヘテロマウスでL-fngのノックアウトマウスと全く同じ表現系を示す尾の短いマウスが生まれてきた。このマウス胚を解析したところ、融合タンパク質は発現しているようであったが、我々が期待していた振動パターンは得られなかった。融合タンパク質がドミナント-ネガティブに機能したようである。それらのマウス尾部では、Notchシグナルは、抑制されており、これはL-Fngノックアウトマウスとは逆の表現型である。また、興味深いことに未分節中胚葉の前方ではNotchシグナルの一過的上昇が観察され、これはHes7ノックアウトマウスの表現型と似ている。どちらにしても、Notchシグナルの振動が失われた結果、体節形成の異常が引き起こされることがわかった。
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Research Products
(1 results)