2005 Fiscal Year Annual Research Report
タンデムリピート型ガレクチン蛋白質の糖鎖認識機構の解析
Project/Area Number |
17046024
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
加藤 龍一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (50240833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若槻 壮市 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (00332114)
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Keywords | 動物レクチン / ガレクチン / X線結晶構造解析 / CRD / 糖鎖認識ドメイン / 立体構造 / 複合体 / 多量体形成 |
Research Abstract |
我々は、マウス由来ガレクチン9のN末端CRDを大腸菌で発現させ、その精製標品の結晶化を行い、CRD単体及び4種類の糖鎖との複合体のX線結晶構造解析に成功した。明らかになった立体構造は、プロトタイプよりもキメラタイプに類似していた。興味深いことに、N末端CRDは全ての結晶で同じ様式の二量体を形成しており、この二量体形成様式は既知のものと異なり新規なものであった。表面プラズモン共鳴を用いた測定で、溶液中でもCRD同士が相互作用していることを明らかにした。また、糖鎖結合領域の分子表面は正の電荷に偏っており、これまで知られている多くのガレクチンが負の電荷分布を示すのとは対照的であった。糖鎖複合体で糖のしめる部分は、CRD単体においては水分子に置き換わっており、結果として糖の結合の有無によるCRD自身の構造変化はほとんど見られなかった。糖鎖との結合様式についてはβガラクトシドの位置が全ての糖鎖複合体間で共通しており、ラクトース(Galβ1-4Glc)、T抗原(Galβ1-3GalNAc)、Nアセチルラクトサミン(Galβ1-4GlcNAc)との異なる糖鎖複合体間で構造変化はほとんど観察されず、より複雑な糖鎖での親和性の差はこれら以外の領域によると考えられた。またNアセチルラクトサミン二量体(LN2)との複合体では一つの糖鎖が複数のタンパク質分子によって認識されていた。以上から、ガレクチン9は新規な多量体形成により、その生理機能を発現させている可能性が考えられる。現在、これまでの知見をまとめて論文の投稿準備を進めていると共に、より複雑な糖(Forssman pentasaccharide)との複合体の構造解析や、CRDを2つ持った分子の構造解析を進めている。
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