2005 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球前駆制御及び幹細胞の産生・維持機構と免疫監視機構の再生制御
Project/Area Number |
17047010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 智 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10242116)
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Keywords | 免疫学 / 移植・再生医療 / 再生医学 / シグナル伝達 / 発生・分化 / アダプター蛋白質 / リンパ球 |
Research Abstract |
免疫監視機構の主体となるリンパ球の発生及び分化制御機構について、リンパ球前駆細胞や造血幹細胞の著しい増幅がみられる抑制性アダプター蛋白質Lnkの遺伝子欠損マウスを起点とし、白血病化することなく増加する分子機構、制御破綻過程の解明を試みた。免疫監視機構の維持・再生に必須である造血幹細胞、リンパ球前駆細胞の増幅及び維持機構を明らかにし、免疫監視機構の再生制御に向けた基盤の確立を目指した。 Lnkは富プロリン部を含むN末領域、PH、SH2ドメイン、C末端チロシンリン酸化部位を持つ。これらの各部位にアミノ酸置換変異や欠失変異を導入した種々のLnk変異体を作製し検討したところ、増殖抑制にはSH2ドメインが必須であり、SH2変異Lnkがドミナントネガティブ(DN)変異体として働きうることがわかった。SH2変異に加えてPHドメイン欠損とC末端領域欠損を組み合わせると、より効果的に野生型Lnkの機能を阻害することができた。得られたDN-Lnk変異体をレトロウィルスベクターによりマウス造血前駆細胞に感染導入したところ、放射線照射したマウスへ移植した際の造血能の亢進がみられた。さらに、DN-Lnk変異体の一過性発現によっても造血前駆細胞の生着能が亢進することがわかった。 DN-Lnk変異体により造血前駆細胞に内因性に発現するLnkを阻害することができ、造血能あるいは生着能を亢進させることが骨髄移植モデル系で確認された。その一過性阻害でも生着能の亢進に効果がみられ、Lnk依存性制御系は造血幹細胞及び造血前駆細胞の機能制御に大変有用な標的系と思われる。
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Research Products
(4 results)