2005 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球とストローマ細胞の相互作用によるリンパ節細網ネットワーク構築機構
Project/Area Number |
17047018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片貝 智哉 京都大学, 医学研究科, 助手 (00324682)
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Keywords | リンパ組織 / ストローマ細胞 / 細網線維芽細胞 / ケモカイン / リンフォトキシン |
Research Abstract |
リンパ節は病原体に対する効果的な免疫反応を惹起するための中枢として働く二次リンパ器官であり、免疫細胞が整然と配置された区画が形成されることにより、時間的・空間的に秩序だった免疫反応制御が成されている。この特徴的な組織微細構造は免疫系細胞と間葉系ストローマ細胞との密接な相互作用により構築・維持されている。特に、TNFやLymphotoxin(LT)などを介してNF-κB系列の転写因子に至るシグナル伝達経路が極めて重要であることが知られているが、実際のストローマ細胞内における詳細は解明されていない。我々はマウスリンパ節由来ストローマ細胞株BLS12が、LTβRを介した刺激によりリンパ組織の発生や構造維持に必須である恒常性ケモカインCXCL13を産生することを見いだした。本研究はこの細胞をモデルとし、リンパ節ストローマの機能発現の分子基盤解明を目標としている。 BLS12細胞は定常状態においてVCAM-1、ICAM-1、MAdCAM-1を発現し、典型的はリンパ組織原基ストローマ細胞あるいは濾泡樹状細胞(FDC)に似た表現型を示す。また、CXCL13産生はTNF刺激では誘導されないものの、アゴニスト抗LTβR抗体により誘導され、これらの同時処理により顕著に増強された。一方、刺激の除去により2日以内にほぼ消失することから、継続的なシグナルが必須であると考えられる。BLS12細胞においてNIKの過剰発現はLTβR刺激非依存的にCXCL13発現を誘導したが、IκBやp100の変異体はCXCL13発現を強く阻害した。以上の結果は、胎児期および成体リンパ組織のストローマ細胞に関してこれまでに知られている断片的な情報と良く一致することから、BLS12細胞がこれらのin vitroモデルとして極めて有用であり、生体内では解析が困難な現象やその分子基盤の詳細へのアプローチが可能であることを示している。
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Research Products
(1 results)