2005 Fiscal Year Annual Research Report
Rap1/RAPLによる抗原提示細胞DCの免疫監視調節機構の解明
Project/Area Number |
17047019
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
片桐 晃子 関西医科大学, 医学部, 助教授 (00322157)
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Keywords | Rap1 / RAPL / Adhesion / proliferation / inflammation / autoimmune / lymphoma / DC |
Research Abstract |
「目的」RAPLを欠損するマウスでは、急性炎症のレベルは低下しているが、加齢すると複数の自己免疫疾患様の病理像を発症する。RAPL欠損が、急性炎症を低下させるとともに、自己免疫病を引き起こす機構を解明する。 「結果」急性炎症モデルとして、TNCBを用いてContact hypersensitivityを検討すると、RAPL欠損マウスでは正常マウスに比べ、耳の腫脹の低下及び炎症細胞の浸潤低下が認められた。この原因のひとつとして、樹状細胞DCの接着及び遊走の低下が考えられる。そこでRAPL欠損及び正常マウスへ、CFSEラベルしたOT-1 T細胞をadaptive transferし、血中及びfootpadへOVA抗原を投与、樹状細胞が抗原を取込みリンパ節へ移動し、OT-1 T細胞の増殖を誘導する能力を検討した。RAPL欠損環境下では、血中に抗原を投与した場合はOT-1 T細胞の増殖反応は正常マウスとほぼ同等であるが、footpadへ投与した場合は顕著に低下することが判明した。このことから、組織で抗原を取り込んだDCがリンパ節へ移動しT細胞を活性化する過程にRAPLは重要であることがわかった。一方、RAPL欠損マウスでは、8〜12month oldで、♀で90%♂で60%が++以上の蛋白尿となり、また、HE染色病理像で、糸球体の肥大や大量の沈着物が認められ、糸球体腎炎を発症することが分かった。組織染色より糸球体沈着物が免疫複合体であること、さらに血中のIgG量及び抗dsDNA抗体価が顕著に上昇していることが判明し、自己免疫性の糸球体腎炎を発症することが明らかとなった。さらに、皮膚炎、円形脱毛、顎下腺炎、血糖値の上昇を伴う膵島炎等も発症する可能性が示唆された。また、RAPL欠損リンパ球は、TCR及びBCR刺激による増殖反応が増強することが判明した。「考察」RAPL欠損マウスによるリンパ球やDCの遊走低下は、急性炎症の減弱を引き起こしているが、加齢によって自己寛容の破綻を生じ自己免疫病発症に関与する可能性が示唆された。
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