2005 Fiscal Year Annual Research Report
IL-7レセプターの発現制御による免疫監視システムの形成と維持機構
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17047021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生田 宏一 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (90193177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真木 一茂 京都大学, ウイルス研究所, 講師 (10311424)
上田 正道 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (50115797)
林 聡子 京都大学, ウイルス研究所, 教務補佐員 (60402806)
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Keywords | インターロイキン / IL-7 / IL-7 レセプター / 樹状細胞 / 免疫応答 / 補助刺激分子 |
Research Abstract |
ヒト樹状細胞(DC)においてTSLPの刺激によりMHCクラスIIやCD86などの補助刺激分子の発現が上昇することが報告されており、樹状細胞におけるTSLPの機能が注目されている。そこで、マウス樹状細胞の分化、増殖、活性化におけるIL-7とTSLPの機能を解析した。 まず、マウス樹状細胞におけるIL-7Rα鎖、TSLPR、共通γ鎖の発現を解析した。脾臓および骨髄の樹状細胞において、TSLPRと共通γ鎖については末梢T細胞と同レベルの高い発現が見られたが、IL-7Rα鎖の発現は低レベルであった。また、GM-CSFにより誘導される樹状細胞(BM-DC)においても、TSLPRと共通γ鎖については培養早期から高レベルで発現が見られたが、IL-7Rα鎖は培養後期で初めて低レベルで誘導された。次に、マウス樹状細胞の分化や増殖・生存に対するIL-7とTSLPの機能を解析した。まず、IL-7Rα鎖KOマウスにおいて、樹状細胞は野生型マウスと有意な差がなく存在し、また、IL-7Rα鎖KOマウスからBM-DCが正常に誘導された。また、単離した樹状細胞をIL-7やTSLPとともに培養しても、生存率に影響はなかった。以上の結果から、IL-7やTSLPは樹状細胞の分化や増殖・生存には必須ではないことが示された。最後に、マウス樹状細胞の活性化におけるIL-7とTSLPの機能を解析した。まず、IL-7で培養すると、pDCにおいてMHCクラスIIの発現が上昇したが、cDCでは変化がなかった。一方、TSLPで培養すると、cDCでCD86の発現が上昇したが、pDCでは変化がなかった。以上の結果から、マウスのpDCとcDCは、それぞれIL-7とTSLPとに特異的に反応する可能性が示唆された。 マウスでは、TSLPがcDCの活性化により適応免疫を誘導し、IL-7がpDCの活性化により免疫寛容を誘導する可能性が推察される。
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Research Products
(2 results)