2005 Fiscal Year Annual Research Report
脂質に応答するCD1依存性獲得免疫の成立基盤の解明とその賦活法の開発
Project/Area Number |
17047023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉田 昌彦 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80333532)
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Keywords | CD1 / 脂質 / 免疫応答 / 獲得免疫 / ワクチン / 抗体 |
Research Abstract |
MHCクラス1、クラス2分子が提示するペプチド抗原の種類やそれを認識するT細胞群の機能には、明確な差異が認められる。一方、ヒトCD1脂質抗原提示分子群(CD1a、CD1b、CD1c)の機能的差違は明確ではない。このことを追究するために、炭素鎖長の異なるCD1b提示脂質抗原(グルコースモノミコール酸GMM)を精製し、樹状細胞内での動態を検証した。長鎖GMMは、CD1b分子が選択的に発現したリソソームに輸送され、CD1b拘束性T細胞に抗原提示されたが、短鎖GMMは、CD1a分子を発現したリサイクリングエンドソームに輸送され、結果としてCD1b拘束性T細胞に抗原提示されなかった。さらに、CD1a細胞質ドメインを有するCD1bキメラ分子はリサイクリングエンドソームに発現し、短鎖GMMを効率的にサンプリングできることを明らかにした。以上の結果は、CD1a分子とCD1b分子が、炭素鎖長の異なる脂質分子のサンプリングに関わる可能性を強く示唆するとともに、CD1a分子とCD1b分子が、それぞれ浅い抗原結合部位と深い抗原結合部位の構造を有することとも符合した。一方、非定型抗酸菌感染に伴い、菌固有の糖脂質グリコペプチドリピド(GPL)に対するIgM、引き続いてIgGクラスの抗体産生が起こることを、感染モルモットを用いて観察した。さらに抗体のエピトープは、糖鎖部分に存在することを実証した。この抗糖脂質抗体のクラススイッチが、CD1拘束性ヘルパーT細胞に依存するのか、またその場合どのCD1分子が関わるのかは、現時点では明らかでない。
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