2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患感受性遺伝子の同定による自己免疾疾患の分子病態解析
Project/Area Number |
17047024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡崎 拓 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00362468)
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Keywords | 免疫学 / 自己免疫寛容 / 免疫補助シグナル / I型糖尿病 / 抗体 / 遺伝学 |
Research Abstract |
自己免疫疾患は複数の遺伝子変異が関与する多遺伝子疾患であるため、複数の遺伝子による協調的な制御機構を解明することが重要である。本研究では、我々が独自に作成した自己免疫疾患モデルマウスを用いて連鎖解析を行い、疾患発症に関与する遺伝子を網羅的に探索することにより、自己免疫疾患発症制御機構を包括的に理解することを目的としている。 これまでに、NOD-PD-1欠損マウスが糖尿病を早期、かつ高頻度に発症することを見出し、連鎖解析を行った。糖尿病の発症に最も強い連鎖を示したMHC領域を、糖尿病抵抗性のH-2bハプロタイプに置換したNOD-H2b.PD-1欠損マウスを作成したところ、糖尿病の発症が認められなかった。しかし、NOD-H2b.PD-1欠損マウスは生後20週齢より四肢に麻痺を発症した。病理学的な解析を行ったところ、末梢神経に激しい炎症が認められ、ヒトのギラン・バレー症候群、あるいは慢性炎症性脱随性多発根神経炎に近い疾患であると考えられた。 また、SLEのモデルマウスであるMRLマウスにPD-1欠損マウスを戻し交配してMRL-PD-1欠損マウスを作成したところ、MRL-PD-1欠損マウスは生後5週齢より死亡し始め、15週齢までに約80%が死亡した。病理学的な解析を行ったところ、激しい心筋炎が観察され、心不全により死亡していると考えられた。心臓に浸潤している細胞を採取して、FACSを用いて解析したところ、CD8陽性T細胞が約40%を占めていた。また、CD4陽性細胞、骨髄系の細胞も多数認められたが、B細胞は少なかった。今後、これらのマウスを用いて連鎖解析を行い、各系統が有する遺伝的自己免疫素因を解明していく予定である。
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