2006 Fiscal Year Annual Research Report
高内皮細静脈特異的な細胞動員シグナルによるリンパ球ホーミング制御と免疫監視の強化
Project/Area Number |
17047025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 稔之 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30217054)
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Keywords | 高内皮細静脈 / リンパ球ホーミング / ケモカイン / ケモカイン結合分子 / 細胞外基質 / 細胞接着分子 / nepmucin / autotaxin / lysophospholipase D |
Research Abstract |
【目的】リンパ節高内皮細静脈(HEV)はリンパ球ホーミングの制御を通じて免疫監視の場の形成に必須の役割を担う特殊な細静脈である。本年度は、HEVによる特異的なリンパ球動員シグナルの形成とその制御機構の免疫監視における意義について解析を進め、以下の成果を得た。【結果と考察】1.HEVをとりまく細胞外基質蛋白質によるケモカイン結合とその提示:HEVの発達した基底膜やHEVを取り囲むreticular networkに分布するcollagen IV(Col IV)はCCL21,CXCL12およびCXCL13を選択的に結合し、HEVとその近傍で共局在する。さらに、Col IVに提示されたCCL21,CXCL12およびCXCL13はリンパ球遊走を誘導する。これらの結果から、Col IVがケモカイン提示分子として機能し、リンパ球のHEVからの血管外遊走やHEV近傍でのリンパ球遊走に重要な役割を担うことが示唆された。2.HEVにおける生理活性脂質産生の鍵酵素autotaxin/lysohosholipase D(ATX)の発現とその意義:生理活性脂質LPA産生の鍵酵素ATXがHEVに発現し、特定のLPA受容体(LPA1およびLPA4)がHEVに発現することを見いだした。ATXに対する特異抗体をマウスに投与して血液中のATX活性を枯渇させてもリンパ球ホーミングに明らかな影響は認められなかったが、ATXを過剰発現する血管内皮細胞株にはLPA産生を介するリンパ球接着の亢進が認められ、HEV局所に発現するATXがLPA産生を通じてリンパ球ホーミングを制御する可能性が示唆された。3.新しいシアロムチン(nepmucin)によるリンパ球とHEVの接着制御:リンパ節HEVの遺伝子発現解析からIgドメインをもつ新しいシアロムチンnepmucinを同定した。HEVに発現するnepmucinは、ムチンドメインにHEV特異的な糖鎖修飾をうけてL-セレクチンリガンドとしてリンパ球ローリングを媒介するばかりでなく、Igドメインを介してリンパ球を直接接着する。さらにnepmucinは生理的なフロー条件下でICAM-1と協調して、ケモカイン依存的なリンパ球接着を促進する。これらの結果は、nepmucinがリンパ節HEV上でのリンパ球のローリングと接着の両者を媒介する新しいdual-functionalな接着分子として機能することを示唆している。
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Research Products
(6 results)