2006 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫系細胞による慢性炎症性腸疾患の制御機構の解析
Project/Area Number |
17047030
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹田 潔 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (20309446)
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Keywords | 自然免疫 / 遺伝子発現 / IkB分子 / クロマチン |
Research Abstract |
これまでにIkBNSの機能解析から、TLR刺激によるNF-kB依存性の遺伝子発現には早期誘導型と遅期誘導型があり、IkBNSは遅期誘導型の遺伝子発現をNF-kBの活性を制御することにより抑制していることを見出していた。そこで、自然免疫系の活性制御機構をさらに解析するため、TLR刺激によるNF-kB依存性の遺伝子発現に早期誘導型と遅期誘導型に分かれる分子機構を解析した。 早期誘導型、遅期誘導型遺伝子としてそれぞれCxc12,Lcn2遺伝子を代表として取り上げ、各遺伝子プロモーターへの、NF-kBp65サブユニット、RNA polymerase II, TBPのリクルートをクロマチン免疫沈降法により解析した。遅期誘導型遺伝子プロモーターへのこれら転写制御因子群のリクルートは刺激後180分より認められ、MyD88欠損マクロファージでは全く認められない。一方、早期誘導型遺伝子のプロモーターへは、刺激後15分ときわめて早い時間から認められ、さらに遺伝子発現がほとんど見られないMyD88欠損マクロファージでも有意に認められた。この結果から、早期誘導型遺伝子のプロモーターは、転写制御因子がきわめてアクセスし易い状態であることが明らかになった。 そこで、次に各遺伝子プロモーターのクロマチン構造をヒストンH3-K4のメチル化を指標に解析した。遅期誘導型遺伝子プロモーターではヒストンH3-K4のメチル化は認められず、TLR刺激180分から観察された。一方、早期誘導型遺伝子プロモーターでは、メチル化が刺激以前から常に見られた。この結果から、早期誘導型遺伝子プロモーターは、クロマチン構造が常に開いた状況にあり、その結果転写制御因子がアクセスし易く、遺伝子発現が早期に誘導されることが明らかになった。一方、遅期誘導型遺伝子プロモーターは、クロマチン構造が閉じており、TLR刺激によって構造変換を受け、転写制御因子がアクセスされやすくなること、そしてこのことが、遺伝子発現が遅れるメカニズムであることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)