2005 Fiscal Year Annual Research Report
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17047031
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 隆志 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (30380520)
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Keywords | インターロイキン / サイトカイン / ヘルパーT細胞 / 樹状細胞 / ノックアウトマウス / 自己免疫疾患 / 感染症 / 抑制性T細胞 |
Research Abstract |
抗炎症性サイトカインIL-10は末梢トレランスを誘導維持する制御性T細胞や抑制性樹状細胞(DC)の活性や分化に重要である。IL-10はSTAT3を活性化する。またSOCS3はSTAT3の特異的抑制因子として知られてる。マウス骨髄細胞をGM-CSF存在下で培養しDCを作製しIL-10前処理した後LPS刺激で産生されるIL-6,IL-12,TNFaを培養上清のELISA、細胞内染色したDCのFACS解析及びRT-PCRで比較検討した。LPSで誘導される培養上清中各サイトカインはIL-10前処理で抑制された。RT-PCRではIL-12,TNFaの転写が強く抑制されていたが、IL-6の転写抑制は弱かった。細胞内染色ではDC内のIL-12が著しく減少したがIL-6とTNF_の抑制はほとんど見られなかった。また、LPS刺激により誘導されるDC表面上のCD40の上昇はIL-10前処理で抑制されるものの、CD40の発現レベルを細胞内染色及びRT-PCRで検討したところ、IL-10前処理による強い抑制効果は認められなかった。以上よりIL-10によるDCのサイトカイン産生抑制機構及び表面分子の発現抑制機構には転写のみならず転写後の制御が存在し、IL-10は異なる分子を異なる機構で制御していることが示唆された。次にSOCS3欠損骨髄由来DC(BMDC)においては、リン酸化STAT3が遷延化し、MHC classIIおよび補助刺激分子CD86、CD40の発現が低下し、リンパ球活性化能が減弱することを発見した。さらにKLHでプライミングした後にDCを静脈内投与し、抗原依存的なT細胞の応答をみたところ、SOCS3欠損BMDCではTh1とTh2が著しく低下していることを認めた。またT細胞特異的SOCS3欠損マウスを作成し、T細胞の分化誘導や活性化制御へのSOCS3の関与を解析した。SOCS3nox/noxマウスとLck-creトランスジェニックマウスの交配により、T細胞特異的にSOCS3を欠損させたコンディショナルノックアウトマウスを作成した。SOCS3欠損CD4+T細胞は抗原刺激によりTGFβ1、IL10産生が増強していた。TGFβ1プロモーター領域にはSTAT3結合配列が存在し、IL6刺激や活性型STAT3cによりプロモーター活性が増強した。SOCS3はSTAT3の活性調節を介し、抑制型のDCやTh3型T細胞分化誘導を制御していることが示唆された。
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