2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17047037
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北村 大介 東京理科大学, 生命科学研究所, 教授 (70204914)
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Keywords | 感染症 / 癌 / シグナル伝達 / 免疫記憶 / B細胞 / 抗原受容体 / アダプター蛋白 / プラズマ細胞 |
Research Abstract |
目的:BASHはBCRシグナル伝達に重要なアダプターで、IgM架橋によるB細胞活性化・増殖に必要である。BASH欠損マウスではB細胞分化障害により成熟B細胞が著明に減少し、血中自然抗体価も低い。T細胞非依存性抗原に対しては無反応であるが、T細胞依存性抗原には高親和性IgG抗体を産生する。特に、後者の2次免疫後長期にわたって高抗体価の高親和性IgG1が維持され、記憶応答も正常マウスより遥かに高かった。よって、記憶細胞および記憶型形質細胞の形成がBASHによって負に制御されていると考えられる。このメカニズムを明らかにすることで免疫応答の人為的制御をめざす。 結果:1)マウスB細胞をCD40刺激により前培養すると、BCR刺激によるIKK,JNK,ERKの活性化が増強されるが、BCR刺激無反応であるBASH欠損B細胞でも同じ前培養によりIKK,JNK,ERKの強い活性化がみられた。また、DT40細胞においてBASH,PLCγ2依存性のBCR刺激によるIKK活性化が、HPK1の過剰発現によりBASH,PLCγ2非依存性に亢進した。さらに、BASHノックダウンA20細胞では、IgG架橋によるIKKの活性化が亢進していた。2)T依存性B細胞応答を再現する培養系の樹立:B細胞をCD40LおよびBAFFを安定発現するBalb/c 3T3細胞上でIL-4存在下に培養し、胚中心B細胞様のIgG/E陽性B細胞を高率に長期増殖させる系を樹立した。3)BASH結合蛋白質BNAS1を同定し、BCR刺激によるMAPKを介するElk1活性化をBNAS1が負に制御することを見出した。 考察:1の結果から、T細胞ヘルプによりBASH非依存性のBCRシグナル伝達経路が形成され、そのメカニズムにはHPK1が関わっている可能性がある。IgGシグナル伝達は同様の機構でBASH非依存性となっている可能性がある。
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