2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17047038
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中野 直子 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (90222166)
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Keywords | 発癌 / 実験モデル / トレランス |
Research Abstract |
生体内で自己の細胞が癌化したとき免疫系はこれまでの自己寛容化をいかにして破り免疫応答を発動するかに関して不明な点が多い。本研究では、細胞の癌化と免疫応答の発動、更に癌抗原特異的免疫応答について癌誘導モデルマウスを作製して解析することを目的としている。 新たな自己抗原(仮想癌抗原)を皮膚に発現させるために、Cre依存的にLacZを発現するCAG-CAT-Zマウスと、表皮特異的にCreを発現するK14-CreERT2マウスを交配した。このマウスでCreはERとの融合型で細胞質に存在し、ERのリガンドであるタモキシフェン(Tx)存在下、核に移行し機能する。このマウスにTxを皮下投与すると、投与部位の表皮にLacZの発現が認められた。LacZを誘導した皮膚の所属リンパ節細胞は、LacZ反応性T細胞の増殖を誘導できることから、ケラチノサイトに発現誘導されたLacZは皮膚ランゲルハンス細胞によって所属リンパ節に運ばれ抗原提示されていることが示唆された。誘導1ヶ月後、LacZは表皮に依然として発現していたが皮膚への明らかな細胞浸潤は認められず、LacZに対する免疫応答は寛容化していた。LacZ誘導後、テープストリッピングによりランゲルハンス細胞を活性化すると皮膚に細胞浸潤がおこり、LacZを発現していない皮膚に比べ著しい炎症が起きた。すなわち、従来発現していなかった抗原がケラチノサイトに発現しただけでは免疫応答は誘導されず、癌抗原に対する免疫応答も、癌化によって細胞にもたらされる何らかの変化による自然免疫応答が先行する必要があると考えられた。表皮特異的にNotch1を欠損させるとβ-cateninの活性化により皮膚癌が発症する。そこでケラチノサイトが癌化する過程で細胞に起きる変化をどのような細胞が察知するかを解析するために、K14-CreERT2マウスを用いてNotch1を欠損させ、ケラチノサイトに異常増殖を誘導した。Notch1を欠損させたマウスの表皮は誘導6週後には既に肥厚しており、表皮に存在している細胞について現在解析中である。
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