2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17047039
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
後飯塚 僚 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (50301552)
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Keywords | 医療・福祉 / 癌 / シグナル伝達 / 動物 / 免疫学 |
Research Abstract |
NK細胞の活性化におけるアダプター分子の役割を解明するために、MIST, SLP-76分子が単独あるいは二重に欠損したNK細胞を用いて、細胞傷害活性ならびにIFN-γ産生について解析を行い、以下の知見を得た。 1.Fc受容体ならびにDAP12を介した細胞傷害活性は、SLP-76によって正に制御されており、MISTはそれをSLP-76依存的に負に制御する。 2.YAC-1細胞に対する細胞傷害活性は、SLP-76欠損により著明に低下し、SLP-76およびMIST二重欠損で完全に消失することから、これら2つの分子によって正に制御されている。 3.Fc受容体ならびにDAP12を介したIFN-γ産生は、SLP-76欠損によりほぼ完全に消失し、MIST欠損の影響は認められないことから、SLP-76によって正に制御されている。 4.YAC-1細胞刺激によるIFN-γ産生は、MIST欠損では亢進し、一方SLP-76欠損で消失したが、SLP-76およびMIST二重欠損では野性型と同程度の産生が認められることから、MISTはこのシグナル伝達経路をSLP-76非依存的に抑制しているものと考えられた。 5.SLP-76およびMIST二重欠損NK細胞のYAC-1細胞刺激によるIFN-γ産生は、SrcキナーゼあるいはNF-κB阻害剤で低下し、Syk/ZAP-70キナーゼ、ERK阻害剤では低下した。また、同様なYAC-1細胞刺激によるIFN-γ産生はPLCγ2欠損NK細胞でも認められることから、MISTは、Syk/ZAP-70、PLCγ2非依存的で、SrcキナーゼおよびNF-κBを介したシグナル伝達経路に抑制的に機能しているものと考えられた。 以上の知見から、NK細胞の細胞傷害活性とIFN-γ産生におけるSLP-76とMISTの役割はそれぞれ異なっており、MISTによって抑制される新たなNK細胞受容体シグナル伝達系の存在が明らかになった。
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Research Products
(5 results)