2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17047049
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
堀 昌平 独立行政法人理化学研究所, 免疫恒常性研究ユニット, ユニットリーダー (50392113)
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Keywords | 免疫制御 / 免疫抑制 / 制御性T細胞 / 免疫疾患 / 転写因子 / 遺伝子発現制御 / 網羅的遺伝子発現解析 |
Research Abstract |
平成17年度は、主にFoxp3の構造活性相関解析を通して制御性T細胞の免疫抑制活性に関わるFoxp3の機能的標的遺伝子を検索、同定することを試みた。まずヒト致死的自己免疫疾患IPEX患者において見つかっている突然変異のFoxp3の機能(制御性T細胞の形質と免疫抑制機能を誘導する活性)に対する影響を解析し、その結果、ほとんどの突然変異がFoxp3の機能に障害をもたらすamorphicあるいはhypomorphicな変異であることを明らかにした。非常に興味深いことに、後者のうちA384T変異は大部分のFoxp3の標的遺伝子の発現には影響を及ぼさないにも関わらず、免疫抑制機能を誘導する活性に選択的な障害をもたらすことが明らかになった。この知見から、我々は、A384T変異体は免疫抑制活性を担う機能分子の発現を誘導できないために抑制機能を示すことができないという仮説を立て、そのような抑制機能分子を同定する目的でA384T変異により発現が影響されるFoxp3の標的遺伝子をDNAマイクロアレイ法により検索した。その結果、そのような遺伝子が13個同定された。その中の1つの遺伝子Fit1(Foxp3-induced transcript 1)に着目しさらに解析を進めたところ、Fit1は制御性T細胞をTCR及びIL-2刺激して機能的に活性化させたときに制御性T細胞特異的に発現することがわかった。以上の知見から、Fit1は免疫抑制活性の発現と強く相関して誘導される因子であることが明らかになり、Fit1が免疫抑制活性を担う機能的分子である可能性が強く示唆された。
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