2005 Fiscal Year Annual Research Report
光合成循環電子伝達を制御するチトクロム複合体とフェレドキシンとの相互作用解析
Project/Area Number |
17048005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗栖 源嗣 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90294131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 俊治 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00127276)
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Keywords | X線結晶解析 / 光合成電子伝達 / 分子間相互作用 / チトクロムb_6f複合体 |
Research Abstract |
チトクロムb_6f複合体は、葉緑体のチラコイド膜中に存在し、2量体あたり16個のサブユニットによって構成される分子量22万の超分子複合体である。光化学系IIにより光還元された脂溶性キノンから電子伝達蛋白質プラストシアニン(PC)へと電子を伝達すると共に、H^+を膜のストローマ側からルーメン側へと輸送するポンプの役割を担っている。2003年のX線結晶構造解析により、葉緑体チラコイド膜特有のフェレドキシン(Fd)依存性循環電子伝達への関与が強く示唆されている。高等植物ではチラコイド膜のストローマ側にFd-NADP^+還元酵素(FNR)がサブユニットとして結合しており、FNRと新規ヘム鉄とが、Fdと直接又は間接的に相互作用していると考えられるが、分子レベルでの解析が遅れていた。 これまでの研究により、チトクロムb_6f複合体はFNRの特定の分子種(FNR1とFNR2)を介してFdと相互作用していることが突き止められている。Fdとの複合体結晶を含めて、これまでにX線結晶構造解析されたトウモロコシFNRは全てFNR1であった。したがって、FNR分子種の構造の違いからb_6f:FNR複合体のFdとの相互作用を探るべく、現在、FNR2,FNR3の精製・結晶化を行っている。FNR2については、単結晶が得られている。一方、循環電子伝達の鍵を握るもう一方のタンパク質であるFdのisoproteinについても構造研究を進め、スギナ由来のFd2を1.2Å分解能で構造解析した。構造既知のFd1で、FNR1との複合体形成に重要であるとされてきた分子内塩橋R39:E28の代わりに、新しい塩橋R22:E58を見出した。また、組換え体FNR1への分子間相互作用に対するpH依存性がFd1とで違うことも確認した。現在、Fd2を用いて、チトクロムb_6f:FNR複合体との相互作用実験を計画中である。
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