2005 Fiscal Year Annual Research Report
高度好塩菌の膜インターフェースにおける物質輸送の分子論的義盤
Project/Area Number |
17048008
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宗行 英朗 中央大学, 理工学部, 助教授 (80219865)
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Keywords | エネルギー全般 / 生物物理 / 分子機械 / 生体分子 |
Research Abstract |
平成17年度の研究計画では高度好塩菌の光イオンポンプの光化学サイクルを測定するための時間分解分光測定と遺伝子操作系の立ち上げとを目指すことになっていた.本年度の進捗状況としては,まず東京工業大学生命理工学科の大谷弘之博士の懇切丁寧なご指導のもとに測定用光学系がほぼ完成し,今後は信号出力を高速ADコンバーターを装備したPCに導いて記録し,光路や電気系の調整に取りかかる予定である.遺伝子操作系に関しては残念ながら進捗していない. 一方で北海道大学薬学部の加茂直樹博士との共同研究でプロテオロドプシン(PR)についての研究を開始した.PRは海洋細菌が産出するレチナールタンパクで,高度好塩菌のレチナール蛋白とよく似た位置づけにある.加茂博士との共同研究に用いているPRは大腸菌で発現したものであり,高度好塩菌のバクテリオロドプシン(bR)と同じくプロトンを輸送するが,その機構を考える上で非常に興味深い特徴がある.それはPRもbRに対応してシッフ塩基の対イオンとしてプロトンを受け取る役目をするアスパラギン酸を持つが,このpKaが7.6から7.1付近にあり,酸性条件下ではプロトン化してプロトン受容基として働かない可能性が強いと言うことである.この点についてドイツのグループ,アメリカのグループ加茂博士の研究室で得られた結果の結果が食い違っている.現在,我々の研究室の電気測定系で得られている結果は加茂博士の研究室で得られているものに近く,pH3でも中性付近の約10%の起電性を示している.もしこの結果が本当であればPRでは別のプロトン受容基が酸性領域で働いている可能性があり,非常に興味深いものとなる.今後,時間分解能の高い電圧測定を行い,現在構築している時間分解分光測定系と併せて詳細な知見を得る予定である.
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Research Products
(3 results)